みなさんは、着物や浴衣の正しいたたみ方を知っていますか?
「和服のたたみ方は難しいから、着た後はハンガーにかけてしまっている」という話も、よく聞きます。けれど、ハンガーにかけっぱなしにしておくと、折り目が伸びきり、次に着付けた時にくたびれて見えてしまうこともあるのです。
凛とした着姿は「折り目」が決める
和服は、折り目がきちんとついているだけで、着た時の印象が変わります。昔は、衣紋の下に三角の折り目がついているか否かで、嫁としての技量が試されたといわれるほど、和服の折り目は大切でした。
今回は、その凛とした着姿を作るために知っておきたい基本のたたみ方、「本畳み(ほんだたみ)」を詳しく説明していきます。「縫い目で折る」「角と角を合わせる」、この2つを意識すれば、和服は簡単にたたむことができるんです。
着物と浴衣の正しいたたみ方「本畳み」
1. 床や畳など、平らな場所に着物を置きます。着物の衿が左側、裾が右側にくるように広げ、片方を脇線(わきせん:右手親指で押えている脇の縫い目)で折ります。

2. 手前にある右前身ごろ(下前:したまえ)を、中心にある縫い目で折り返します。

3. もう片方の前身ごろ(上前:うわまえ)を折り返した手前の身ごろの上に重ね、裾と裾、身ごろの端と端、衿と衿を合わせます。

4. 上に重ねた身ごろ(上前)を手前の身ごろ(下前)に重ねます。この時、合わせるのは上前の脇線と上前の脇線。平置き状態だと、脇線よりやや後ろ身ごろの位置で折れ曲がっていますが、和服は常に縫い目でたたみます。折り目のないところに折り目をつけないよう注意しましょう。

■ 衿のたたみ方
身ごろ同士をたたみ合わせる時、気をつけたいのが衿のたたみ方。衣紋の下の三角形の折り目は、着物(浴衣)の中で唯一、縫い目以外に折り目がつく場所です。背中の美しさを見せるアクセントとして重要なポイントですから、いい加減なたたみ方をしないよう注意しましょう。
①首元部分を内側に折りこみます。

② 背中心で半分になるよう、折り込んだ襟の端を合わせてたたみます。

③もともとついていた斜めの折り目と同じ角度で、すっきりと折りたためていればOKです。

④上になっている左袖だけ身ごろ側へ折り返し、その上に折りたたまれた下身ごろを半分にして重ねます。

⑤全体を裏返し、もう一方の袖を身ごろ側へ折り返して完成です。たたんだ着物(浴衣)は畳紙(たとうし)に包んでタンスの中へしまいましょう。

着物の美しさは後ろ姿が決める
洋服と違い、直線的な裁断の和服は、後ろ姿の美しさが美人の証と言われます。帯結びや衣紋の向け具合などももちろん大切ですが、ゆがみのない折り目もおしゃれの一貫なのです。
後ろ姿美人をめざして、浴衣を正しくたたむ習慣を、身につけてみませんか。
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牧野絵美
音楽、芸術、書道と幼いころから“創る物”に没頭してきたインドア派。和の心をこよなく愛し、海外在住中も着物と書道具を肌身離さず持ち歩いた。 就職とともに仕事の楽しさに目覚めるも、サービス業の鬼になってやろうと上ばかり見て躓くこと数えきれず。縁あって小説を出版し、創ること、生み出すことに満たされる自分を再確認した。美しさと健康の原点は、生きたい自分を生きることと信じ、鋭意執筆中。
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