
普段、何気なく口にしている料理はたくさんありますが、どういう理由でこれらの具材が使われているのかということまで、考えを巡らせたことはあるでしょうか。実は気づかないところで、日本の食を今も昔も支えているのが中国由来の「薬膳料理」です。
けれど、「薬膳料理」と言われてもパッと料理が浮かばないし、どういうものか分からないという方も多いかと思います。そこで、今回は老若男女のからだと心にやさしい「薬膳料理」についてご紹介します。
1.「薬膳」とはどんなもの?

薬膳とは中医学(中国伝統医療)理論に基づいて作られた料理のことです。
中医学とは春秋戦国時に作られた最古の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」を基にした経験医学。「すべての食物には効能がある」という薬食同源の考え方を軸にしています。
「薬膳」という言葉通り「薬」を使わなくてはいけないのかというと、そうではありません。薬膳料理では生薬を使ったものだけではなく、ふだん私たちが食べている野菜や穀物や豆、肉魚乳製品なども組み合わせて体の健康を守ることができると言われています。
2.「薬膳料理」はどんな料理?
最古の薬学書である『神農本草経』によると「薬には酸、苦、甘、辛、鹹、の五味があり、寒、熱、温、涼、平の五性がある」と言われています。
食材にも同じように五味や五性があると言われており、薬膳は五臓「肝」「心」「脾」「肺」「腎」のどの部分に関連するかを表す「帰経(きけい)」や陰陽五行の理論に則って、季節と体の症状と食材の特性を組み合わせて料理していくことが大切になります。
食材にも同じように五味や五性があると言われており、薬膳は五臓「肝」「心」「脾」「肺」「腎」のどの部分に関連するかを表す「帰経(きけい)」や陰陽五行の理論に則って、季節と体の症状と食材の特性を組み合わせて料理していくことが大切になります。

こう書くととても難しそう……と、感じてしまうかもしれません。ですが、小さい頃に、お母さんが作ってくれたひともいるかもしれない「黒砂糖入りの生姜湯」なんかも、薬膳料理の理論に基づいて作られたものです。
生姜は五性で言うと「熱」。体を温めて寒さを散らす作用があります。さらに黒砂糖は、ショウガの持つ効果を引き立ててくれるため、寒気を感じるからだに効果があるとされています。この食材の組み合わせは、昔からの言い伝えがそのまま薬膳の理論と合っていることを表しています。
私たちはすでに幼いころから薬膳を体で知っているのかもしれませんね。
それぞれの食材がどのようにはたらくのか、体調を良くする組み合わせを考えながら、旬のものを美味しくいただく。そのためのガイドとして薬膳理論を使っていくことで、すはだをより美しく保てるようになりそうです。
薬膳料理は、中国数千年の歴史が培った食。次回から少しずつひも解き、「五味について」、そして「五性について」「五臓との関連性(帰経)」などお届けしていきます。
(参照:全日本薬膳食医情報協会)
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Amika
シンガーソングライター、CM音楽の歌作詞作曲、ライター、パン・料理研究家。出産を機に子供と同じ卵乳にアレルギーがあるとわかり、日常から卵乳製品を使わない料理やマクロビオティックを実践。中医学(薬膳)も学ぶほぼベジタリアン。作詞作曲のかたわら、学び続けてきた自然酵母のパンと焼き菓子、妊娠出産授乳期や養生食、狭心症や糖尿病のための食事、菜食と肉食ごはんの両立、アレルギー対応食の講座を担当。
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