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食事が変わる!食べものの組み合わせで体調を整える「五味調和」とは?
2015.09.28
理想的な形で自然と共生していることで、ユネスコにエコパークとして認定された宮崎県綾町。その町に、漢方薬局と併設したレストラン「薬膳茶房オーガニックごうだ」はあります。

店長の郷田美紀子さんは、薬局の隣に台所を作り、医食同源に基づいた「五味調和」の薬膳ごはんを、日々提供しています。
五味それぞれの効能とは
五味とは、中国由来の陰陽五行にのっとって分類された「私たちが食べ物を口にした時に感じる味覚」のこと。五味それぞれは、からだの各臓器のはたらきを助け、季節にからだの状態を調和させていくことで、私たちの体調を改善してくれます。
たとえば五味にはこのような作用があります。
- 「酸」(さん):肝機能を活発化させる。血液の流れをサラサラにして動脈硬化を防ぐ。
- 「苦」(く):からだを穏やかに冷ます。充血や炎症、心臓の負担を和らげる。
- 「甘」(かん):養分を吸収するはたらきがある。
- 「辛」(しん):血行を良くし、発散を促すはたらきがある。くしゃみ、鼻水鼻づまり、敏感肌、冷え性、便秘に効く。
- 「鹹」(かん):塩み(しょっぱさ)のこと。他の四味を吸収しやすくし、排泄を促すはたらきがある。
五味調和とは、からだと心のバランスを取ることをいいます。具体的には、甘酒、味噌、納豆、醤油などの発酵食品や、梅干しやお米、餅やそばなどを使う昔ながらのごはんを食べる暮らしです。
薬学博士である渡辺武氏が考案された図から説明するとこのようになります。
点線は対比関係にあり、矢印の起点にあたる味が、向かっていく方の味の持つ効能を弱める効果があります。また、太い矢印は、向かっていくほうの味を助けるはたらきがあります。
また、五味は、それぞれ熱性、平性、寒性にあたる食材を持っています。「酸」を例に見てみましょう。
「酸」は、主に肝臓、胆のう、目、筋肉に作用します。 この部位をあたためる「熱」のものは、玄米酢、梅玄米酢、りんご、すもも、杏、梅肉、 温めも冷やしもしない「平」のものは梅、かりん、びわ、冷まして鎮静させる「寒」のものは、ゆず、すだち、香酢、レモン、だいだいと言われています。
「酸」は摂り過ぎると胃や脾臓などを司る「甘」の部位を弱めてしまいますが、「鹹」の腎臓や膀胱や耳や骨髄を補助する役割があります。「酸」の効能は、「辛」のものを摂ることで弱るのでほどほどにバランスを摂りましょう。
五味それぞれの熱・寒・平の食材たち
「苦」
- 効果的なからだの部位:心臓、小腸、血脈
- 熱:よもぎ、ふき、たらの芽
- 平:うど、菊花、びわ、ぎんなん、春菊
- 寒:苦瓜、ほうれん草、たけのこ、アロエ、高菜、ごぼう、ビール
「甘」
- 効果的なからだの部位:胃、脾臓、口、皮膚
- 熱:うどん、鰻、まぐろ、牡蠣、鯛、タチウオ、ふぐ、鯵、海老、羊肉、牛肉、やまいも、納豆、なつめ、カボチャ、しいたけ
- 微熱:鶏肉、かまぼこ、人参、サツマイモ、苺、無花果、いか、蓮根、鶏卵、ハトムギ、とうもろこし、米、ぶどう、蜂蜜、水あめ
- 平:ごま、練りごま、椿油、ダイズ、米、赤あずき、百合根
- 微寒:牛乳、小麦、栗
- 寒:砂糖、なす、きゅうり、キャベツ、トマト、白菜、レタス、わらび、柿、桃、みかん、スイカ、梨、豆腐、こんにゃく、ウニ、あわび、タコ
私たちは普段からパン、パスタ、ケーキや油など「甘」を摂り過ぎる傾向にあります。「甘」以前の流れから「辛」の部位も弱まっているため、全体的に現代人の腸や肺、大腸、鼻や皮膚も弱っていると考えられます。
そのためにまずできることは主食をお米に戻すこと。出汁から取ったお味噌汁を摂ることが改善の第一歩です。

「辛」
- 効果的なからだの部位:肺、大腸、鼻や皮膚
- 熱:酒、にら、芥子、生姜、落花生、わけぎ、大根、ごま、しそ、山椒、かぶ、胡椒、紫蘇、らっきょう、わさび、にんにく、唐辛子、ウィスキー、ワイン、焼酎
- 平:さといも、ねぎ
- 寒:ずいき
「鹹」
- 効果的なからだの部位:腎臓、膀胱、耳、骨髄に作用します。
- 熱:大麦、梨、いわし、さば、納豆、めざし、太刀魚、玄米味噌、麹味噌、
- 平:からすみ、しじみ、ひじき、わかめ、醤油
- 寒:食塩(自然海塩)、昆布、なまこ、青海苔、はまぐり、あさり、もずく

五味五調と聞くと、複雑そうに感じますが、私たちは自然とこの法則にのっとって暮らしています。
たとえば、甘いものを食べたあとはしょっぱいものが食べたくなったり、「塩レモン」のようにすっぱいものと辛いものを合わせると旨味が引き立ったりします。
それぞれの味が持つ効果効能と、自分の五臓六腑のはたらきとの関係性を改めて考えることで、一日の食事に対する視点も、大きく変えることができるでしょう。
「毎食きちんとバランスを取る」ということも「一品の中でバランスを取る」ことも「昨日はこうだったから今日はこうしよう」と変えてみるのも良し。無理なく、けれどていねいに自分に合った方法で、からだとじっくり向き合い、整えていく食生活を目指したいものですね。
「毎食きちんとバランスを取る」ということも「一品の中でバランスを取る」ことも「昨日はこうだったから今日はこうしよう」と変えてみるのも良し。無理なく、けれどていねいに自分に合った方法で、からだとじっくり向き合い、整えていく食生活を目指したいものですね。
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Amika
シンガーソングライター、CM音楽の歌作詞作曲、ライター、パン・料理研究家。出産を機に子供と同じ卵乳にアレルギーがあるとわかり、日常から卵乳製品を使わない料理やマクロビオティックを実践。中医学(薬膳)も学ぶほぼベジタリアン。作詞作曲のかたわら、学び続けてきた自然酵母のパンと焼き菓子、妊娠出産授乳期や養生食、狭心症や糖尿病のための食事、菜食と肉食ごはんの両立、アレルギー対応食の講座を担当。
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