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「食べる」をもっと豊かに。ウェブサービス「OWNERS」が目指すこれからの食卓とライフスタイル
2015.12.19
美と健康の原点は、食。これは自明の事実です。けれど日々、口にしている野菜、くだもの、魚、お肉……これらは、当たり前のようにスーパーやお店に並んでいるにも関わらず、一体誰がどんなふうに育て、誰の手を介して届いたものなのか、知っているのはごくわずか。
食べることがいつの間にか、作業のひとつのようになり、気づけば偏食や孤食ばかり。昨日食べたものが何だったかも忘れてしまう。食べるものがあり余る現代において、いつの間にか近いようで遠い関係になってしまった「作り手」と「食べる人たち」。
けれど、そんな両者をより身近に感じられ、暮らしを彩る食材に出会える場所があります。それが「OWNERS」です。
「OWNERS」って?
「OWNERS」(オーナーズ)は、2015年12月1日に運用を開始した、食をテーマにしたプラットフォームウェブサービス。日本中の様々な農作物を扱う農家さんや水産業者さん、酪農家さんから、気に入った食材や農家さんを選び、オーナーとしての契約期間中に収穫物を送ってもらうことができます。
特徴は、以下の4つ。
①オーナーはすべて「定員制」事前注文数が確定していないと生産できない加工品など、オーナー制度だからこそ提供できるプランのラインナップ。オーナーはすべて定員制で募集をしています。②コミュニケーションでつながる自分がオーナーとして登録した生産物ができるまでのプロセスを、OWNERS上で生産者が発信しています。生産物が届くまでの時間を、他のオーナーたちと一緒に共有することができます。③「体験」もプランのうちオーナー特典の中には、登録した生産物が届くだけではなく、現地で生産者の収穫のお手伝いができる「体験」を含めたプランもあります。④大切な人におすそわけ届いた商品を自分で楽しむことはもちろん、ギフトとして生産地から直接発送も可能です。オーナーとなっている生産物を“おすそわけ”する楽しみもあります。(OWNERS公式サイトより)
既存のオーナー制度の利用者は、ほとんどが企業の社長や大家族など、大量購入者向け。どんなにおいしそうな食材を見つけても、個人がオーナーになる入口がありませんでした。けれど「OWNERS」なら、一人暮らしでもオーナーになることができるのです。
なぜ、今「OWNERS」というサービスをスタートしたのか? 発起人の谷川佳さんに、現代だからこそオーナー制度を利用したい理由と、「OWNERS」というサービスが持つ世界観について、うかがいました。
谷川佳さん
既存のオーナー制度を超えた、人と人をつなぐ「OWNERS」
── 「OWNERS」を創ろうと思ったのはどういった経緯があったのでしょうか。
谷川佳(以下、谷川) 前職が日本各地のブランディングやPRを行っている会社で、その頃から農家さんたちと交流する機会が多く、良質なものを作っていても提案や売り出し方が分からない方がたくさんいらっしゃいました。それが、すごくもったいないなと感じて。
そこで、商品の特徴や作り手の思いをきちんと届けられる仕組みを考えたとき、オーナー制度をうまく利用できると思い、「OWNERS」を立ち上げようと決めました。
── オーナーを募集している農家さんたちは、どうやって探すのでしょうか。
谷川 前職のつながりがある方々もいらっしゃいますが、あとは本当に地道に、電話してお願いしています。サービスを12月にスタートしてからは、掲載したいという農家さんからの問い合わせが殺到していて、嬉しい限りです。
家族で日本茶の魅力を届ける、熊本県の川上製茶
── 問い合わせ対応や、各農家さんの紹介ページなどはどうやって作成しているのですか?
谷川 私が実際に現地へ行って、生産者さんと一緒にプランを考えて、必要であればその場で撮影も行い、紹介ページを作成しています。
── えっ、お一人ですべてやっていらっしゃるんですか?
谷川 システム周りをお願いしているエンジニアさんや、お手伝いしてくださる方もいらっしゃいますが、サービスの運用自体はほぼ私一人です(笑)。
── すごいですね……! オーナー制度に着目し、「OWNERS」を立ち上げる上で譲れなかった点はどんなところですか?
谷川 サービスの機能でこだわったのは、農家さんとオーナーさんが直接つながれるコミュニケーション機能を設置することです。
商品の価格を比較してお買い得な方を提示するのではなく、この食材にはどういう物語があるのかをまず知ってもらうことを最優先に考えています。食材にかけられている手間暇が分かれば、買う側も食べ物に対する見方が変わると思うんです。
ですから「OWNERS」には、ここで買えばどれくらい安くなる、など価格競争を煽るような情報は一切載せていません。同じリンゴでも、地域性や生産者さんによってどれくらい変わるのかを、ユーザーの方々に知ってもらいたい。だから各生産者さんのページも、僕の編集などは入れずに、作り手の方々が書いたものをそのまま公開しています。

116年前続く、青森県の釈迦のりんご園
── 買い手は作り手の方々の顔とプロセスが見えるから、安心安全な食材が手に入る、ということですね。生産者さん側にとっては、どんな使い方ができるのでしょうか。
谷川 小規模経営の農家さんほど、作ったものを売ったり、マーケティングしたりするところまで手がまわらないことが多いですが、「OWNERS」が消費者の声を直に知ることが出来る場になると思います。
「OWNERS」は定員制なので、事前に注文が決まっていると、誰かのためにどれくらい作るかが分かりますから、徹底的にこだわれるんです。もちろん大きな取引先も大事ですが、一方で消費者の声をリアルに聞ける場や、固定のファンがいることは農家さんのモチベーションにもなります。それに、コミュニケーションの履歴が残るから、商品の評判に説得力が増しますね。
── 扱う食材の種類はどれくらいの数があるのでしょうか。
谷川 食という切り口で定番物から、特別な気持ちになれるもの、人にギフトしたくなるちょっとユニークなものまで、バリエーションをきかせた商品数を集めようかと思っています。
毎日の食材はもちろん、「OWNERS」に登録しておくからこそ見つかるような変わり種も扱って、バランスをとりながら提案したいですね。

千葉県房総半島でパッションフルーツを作る「RYO’S FARM」
── 日常を少し超えたシチュエーションでも「OWNERS」を使って欲しいということですか?
谷川 「こういう食材のオーナーになっている」と自覚することでユーザーさんが特別感を持てるサービスにしたいですね。それに、自然のものですからオーナー登録しても、すぐにその食材が手に入るわけではありません。登録後に食材が届くまでを、マイページで追いかけながら農家さんと買い手のお客さんが、食材が育てられる様子を共有することで、愛情が育っていく。そうすると、届いた時の感動もあります。
「OWNERS」を通して食べる食材は、すぐには手に届かないというところにも、価値があるのではと思っています。
「OWNERS」を使って生まれる特別感で、暮らしを豊かに
── 谷川さんご自身が農業や地域PRに興味を持ったのはどうしてなのでしょうか。
谷川 私の地元の大阪府岸和田市という街なのですが、だんじり祭りが毎年行われたり、独自の雰囲気があったり、地域としての文化があるところで育ちました。だからこそ、日本各地に埋もれている魅力を引き出して、文化の土台を作りたいと思ったんです。光が当たっていないものでも、外の人間から見たら貴重に見えるものもたくさんありますからね。
── 昔から、食や農業に関わる道に進みたい、と?
谷川 いえ、昔は弁護士を目指していて、大学1,2回生の時は、朝から図書館にこもって勉強ばかりしていました。若かりし自分みたいなやつにガツンと言ってやろうと思って(笑)。でも、今ないものを創り出していくことの方にどんどん興味がわいてきて、弁護士を志すのを辞めて就職活動し、今に至ります。
── 「OWNERS」の仕組みは、街や都会で主流になっている大量消費のスタイルとは違うものですが、そちらにシフトしたのは何故ですか?
谷川 私自身が田舎育ちではないから、客観的な視点で田舎の魅力や、つながりに価値があることに興味を惹かれたのだと思います。もし私が農家の家に生まれていたり、地方出身だったりしたら「OWNERS」を作る発想がわかなかったと思います。新鮮な食材が身近にあることや、密な人間関係を築くことがふつうのことになっていただろうから。
── 「OWNERS」を通して、どんな暮らしを実現したいか、最後に教えてください。
谷川 自分らしく暮らしている人は、何かしらこだわりを貫いている人が多いと思います。そのライフスタイルのひとつの選択肢として、消費者目線の「オーナー制度」を日常に根付かせたいですね。
「OWNERS」を使うことで得られる、特別感とおいしい食材は、ユーザーさん自身が求める暮らしを表してくれます。それに、農家さんも一生懸命作った食材のファンと直接やり取りができることで、仕事にもやりがいが生まれます。お互いの日常が、「OWNERS」を介して少しずつ豊かになっていけたら、と。
サービスを始めて、まだ1ヶ月ほどですので、まずは、つながりを作ることやオーナーになることに、どれだけ価値があるかを実感してもらえるように提案していきたいですね。
お話をうかがった人
谷川 佳(たにがわ けい)
1987年大阪生まれ。関西大学卒業後、PR会社にて地域ブランディング・企画事業に従事。全国を対象にした食イベントの企画・開催や、自治体や民間企業のPRに携わる。その後、ITベンチャーに転職するも、オーナー制度プラットフォーム「OWNERS(オーナーズ)」を構想し、半年間の準備期間を経てサービスをローンチ。全国の生産者や事業者と関わりながら消費者への新しいライフスタイルの提案を行っている。
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★自分らしいスキンケアを求めて
★自然のチカラは健やかな肌とからだを守ってくれる
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「大人すはだ」編集部
大人がすはだで暮らす時間を提案するウェブマガジン「大人すはだ」の編集部です。
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