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飾るのではなく使いたい。日本各地の陶器市で出会った作家さんのうつわたち

2015.05.31

うつわ, 作家, 手作り, 益子, 笠間, 陶器市

日本の様々な地域で開催されている陶器市では、うつわのある暮らしと歴史に触れられ、ますますうつわに対する愛着が深まります。
 
ですが日本各地の陶器市で、新しいうつわを選ぶとき、それらがどんなに素敵でも、ちょっとした葛藤が付きまといます。
 
「本当に日常で使えるだろうか?」
「持ち合わせている、うつわたちとの相性はどうだろう?」
「とても気に入ったけれど、今使っているもので十分に揃っているのであれば、これは我慢したほうがいいかしら……。」
 
じっくり自分自身の暮らしを振り返ったり、使いやすいか手にとってみたり問答をした上で、すはだに心地よいうつわたちと巡り会えました。
 
選りすぐりの逸品たちを、ひとつひとつ、ご紹介いたします。

陶・HOJOさんの真っ白なワンプレート 

白いプレート
 
このプレートは、友人からのリクエストに沿って選び、たどり着いたものです。
 
リクエストの内容は直径20センチくらいで使いやすい平型のお皿。探してみて気づいたのですが、意外と20センチ前後の程よい大きさのプレートは少ないということ。
 
そして益子陶器市に訪れた際、出会ったのが北條潤さんが作る、手触りがするすると、なめらかなこのプレートです。

北條さんは画家のお父様の影響もあり、以前から将来的にものを作ることがしたいと考えていたそうです。幼少期から家には益子で作られたうつわがあり、知り合いの陶芸家さんのところへ遊びに行く機会も多く、成長するにつれて「身近に感じるうつわを作っていきたい」と考えるようになったそう。
 
そして2014年に独立し、仕事場もご夫婦で時間をかけて修繕して設え、お二人で日々陶作活動を行っています。

白いプレートの裏
 
「うつわを作ることは人間の性格に長所と短所があるように、作ることにもおもしろさと難しさの両方があります。それはうつわを作る過程でも一緒で、柔らかい土と硬い土という二面性があります。
 
そういった『モノは一見相反する特性を持つ』ということを具体的に作品にどのように表現するかを、いま学んでいるのだと思います」という言葉がとても印象的でした。

うつわたち
 
数十年先まで使い、古くなっていくのを楽しみ使ってもらいたいと話す北條さんご自身も、丈夫なものを長く使っていくことが好きで、そういう暮らしを大切にされているとのことでした。
 
触り心地が気持ちよくて、盛り合わせにも取り皿としても使えそうなこのプレートは、これからゆっくり時間をかけて、長く楽しみながら食卓で活躍していくことでしょう。

恵山・小林さんの手から生まれた渋味いうつわたち

こちらは茨城県笠間の陶炎祭で出会った恵山・小林耶摩人さんのうつわです。

茶碗
 
益子陶器市と日を同じくして、開催されていたのが笠間の陶炎祭。焼き物といえば益子というイメージは定着していますが、益子以前に江戸時代初めに陶芸が盛んになった地は茨城県笠間からだったという説もあるそうです。
 
お皿
 
小林さんはご実家が窯元だったこともあり、小さい頃から土いじりをすることが好きだったといいます。大人になり、いろいろな経験を経て、ものづくりの原点が一番身近なところにあったと気づき、本格的に陶芸活動を始められたそうです。
 
作家活動5年目になる今年に独立し、シンプルな中にも毎日の食卓で使いたくなるような、日常使いのうつわを中心に作陶しているということでした。 
 
うつわとコップ
 
自分が作りたいものと、使い手が使いたいと思うもののバランスが難しいけれど、意識せずともごく自然にいつもの場所に存在する、そんなうつわを作っていきたいとお話してくれました。
 
筆者は、陶炎祭で小林さんのブースを2度訪問しました。一度目はプレート一枚を購入し、その後どうしてもカップが忘れられずに、再度訪問。 それくらい、小林さんの作るうつわたちは見えない引力を放っています。
 
コップ
 
手にした時に心地よい手触りと、色の風合いがお気に入り。他にも毎日セットで使いたいうつわがたくさん並んでいました。
 

暮らしを彩るお気に入りのうつわたち 

日本各地で作られているうつわは、その土地の風土によって、質感や色合いが変わります。
 
例えば、沖縄生まれのどっしり安定感のある湯のみであったり、金沢で出会った愛らしい小皿であったり、各地域へ赴いたとき、ついついうつわを手に取ってしまうのは、その土地に根付いた暮らしの片鱗を感じられるからかもしれません。
 
カップ
 
作り手さんの思いは、お二人とも「日常で使う中で、時間をかけてうつわの変化を楽しんでほしい」ということが共通していました。作家さんのうつわは飾っておきたいし、普段使うのは気が引ける……という方もいるかもしれません。

金沢のうつわ
 
けれど、すはだに触れて暮らしに馴染ませ、一緒に年を重ねていくことが、うつわにとっても作り手さんにとっても、嬉しいことなのだと学びました。

うつわコレクション
 
これからどんな風に楽しみながら大切に使いこんでいこうか。そんな風に考えながら、日々の食卓にお気に入りが並ぶ光景は、とても贅沢な時間です。
 

お話を伺った作り手さん

北條 潤

1977年生まれ、栃木県宇都宮市出身。多摩美術大学造形表現学部造形学科油画を卒業し、2013年まで藤原郁三陶房に勤務し、2013年に益子町で独立して「陶・HOJO」をスタート。

小林耶摩人

1983年生まれ。茨城県笠間市出身。法政大学 国際文化学部国際文化学科を卒業後、茨城県工業技術センター窯業指導所に入所し、成形科修了。その後、2015年まで額賀章夫氏に師事し、独立。独立・笠間市に築窯を構え小林耶摩人、西村峰子で工房「恵山」設立。
 
 
 
 
中條美咲

中條美咲

昭和64年1月3日 長野県生まれ。 2014年 暮らしの中で出会ったものや人、そこから感じたことを文章で伝えていきたいと思い 「紡ぎ、継ぐ」というブログを始める。” 見えないものをみつめてみよう。” ということをテーマに、書くことを通じて多くの出会いに触れながら、感じる力を育てていきたい。 現在は「灯台もと暮らし」と「PARISmag」にてライターとして活動中。

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