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奈良でたしなむ大人の古都の味「南都諸白 春鹿」に学ぶ、こだわり日本酒とは

2016.01. 6

今西清兵衛商店, 伝統, , 奈良県, 日本酒, 春鹿, 酒蔵

日本酒と聞くと、みなさんはどんなイメージがありますか?
 
日本酒は今、国内外問わずブームを巻き起こしています。日本では若い世代を中心に、「最初の一杯はビールでなく日本酒に」という人も少なくないそう。海外では、和食がユネスコの無形文化財に指定されてから、今まで以上に日本酒への関心も高まっています。
 
しかし、日本では「日本酒が苦手」という女性もまだまだ多いもの。今回「大人すはだ」では、奈良きっての歴史ある「今西清兵衛商店」を取材してきました。

「下り酒」の伝統を受け継ぐ、今西家の酒造り

江戸時代に京都から江戸へ運ばれる物は、品質のいい「下り物」だけだったといいます。ちなみに、わざわざ時間と手間をかけて江戸に運ぶことはない質の悪い物は「下らない物」と呼ばれ、取るに足らないことを意味する「下らない」という言葉が、現代に伝わっているそうです。
 
その「下り酒」を造っていた酒蔵に、今西家が引っ越したのが明治時代。「春鹿」という酒名は、その時に春日大社の「春」とその神獣である「鹿」にあやかって名付けられたといいます。時代が移り変わり、酒蔵のある地域(ならまち)を盛り上げるため、そしてたくさんの方に春鹿を知ってもらいたいと考えた今西さんが酒蔵ショップをオープンしたのは平成10年。現在はその思いが通じ、ならまちの観光スポットの一つとなりました。
 
今西酒蔵
お店から酒蔵へ続く出入り口。この戸の奥で「春鹿」は生まれる
 
今西さんが大切にしている酒造りへの理念は、「米を磨く、水を磨く、技を磨く、心を磨く」こと。
 
「お酒というのは、杜氏や蔵人だけが造っているのではありません。どんなにいいお酒を造っても、瓶に貼られたラベルが曲がっていたり、注文いただいた時の電話対応が悪かったりすれば、それがお酒の評価です。スタッフを大切にし、一人ひとりが丁寧な仕事ができるよう心がける。それが物づくりの基本だと思っています」との言葉からも、絆を大切にする気持ちが伝わってくるようでした。
 
そんな気持ちから生み出される春鹿の商品は、日本酒の新しい可能性を感じさせるアイデアとこだわりに溢れたものばかり。中でも日本酒と洋菓子のコラボ商品(※全国から集めた、こだわり抜いた材料のみを使う奈良の洋菓子店「patisserieTRICO(パティスリー・トリコ)」や「たっくんのバームクーヘン屋さん」とコラボ)は、目からウロコの絶品スイーツでした。
 
コンフィチュール
酒粕とホワイトチョコのコンフィチュール。常温保存可。「patisserieTRICO」作のセットの鹿とスプーン型のクッキーにつけて召し上がれ。

バームクーヘン
微かに春鹿の香りがするバームクーヘン。びっくりするほどしっとりとして柔らかい。
 
今西のお菓子屋さん
「ならまち」の入り口にある洋菓子店「をかし東城」では、春鹿を使ったチーズケーキが大人気
 

3つのC「Choice」「Change」「Chance」を心に留めて、伝統と革新に挑み続ける

20年前から海外への出荷を始め、現在ではアメリカやヨーロッパなど10ヵ国以上で飲むことができる春鹿。日本では、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」や「全国新酒鑑評会」などで最高金賞を受賞している銘柄も多いのが特徴です。
 
すでにさまざまな挑戦をしている今西さんですが、まだまだやりたいことはたくさんあると目を輝かせます。
 
「今よりもっと皆さんに愛される春鹿を造るため、お客様の声を聞きながら常にいいものをチョイスし、良い方向にチェンジし、チャンスをつかんでいきたい。目下の目標は、東京の飲食店各店ごとに複数の春鹿を入れてもらい、お客様に春鹿を飲み比べていただくことです。日本酒にもさまざまな味、香りがあることを知っていただきたいと思っています」
 
比べなければチョイスができない。チョイスができなければ、日本酒へのイメージをチェンジすることも、好きになるチャンスもない。3つのCは、お客さんにとってもいい循環が生まれる第一歩なんですね。
 
今西酒蔵
店内ではオリジナルグラス(500円)で5種類のきき酒が楽しめる(イベント時を除く)。 連日、国内外観光客の足が絶えない
 
平安や室町の時代、もっとも上質で高級な日本酒と謳われた南都諸白の伝統を受け継ぎ、時代に合わせて変化を遂げてきた今西清兵衛商店。春鹿の上品で深みのある味わいは、伝統と革新の歴史そのものを表わしていると言えるのかもしれません。
 
いつもの焼酎や高級ワインもいいですが、今日は日本が世界に誇る匠の味を食卓に添えてみませんか?

お話をうかがった人

今西酒蔵社長
株式会社 今西清兵衛商店 社長 今西清隆さん
 
明るい笑顔とやわらかい話し方が印象的な5代目の蔵元。社長という立場でありながら、誰よりも積極的に企画、営業、海外出張などをこなす。「春鹿を楽しむ会」主催だけでなく、お店に隣接する国の重要文化財「今西家書院」にて寄席などのイベントを開き、人との交流を大切にしている。

このお店のこと

春鹿醸造元「株式会社 今西清兵衛商店」
  • 住所:〒630-8381 奈良市福智院町24-1
  • 営業時間:AM8:15~PM17:15
  • 定休日:お盆、年末年始
  • 最寄り駅:JR「奈良」駅、近鉄「奈良」駅
  • 電話番号:0742(23)2255
  • FAX:0742(27)3585
  • 公式サイトはこちら
★★★
 
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牧野絵美

牧野絵美

音楽、芸術、書道と幼いころから“創る物”に没頭してきたインドア派。和の心をこよなく愛し、海外在住中も着物と書道具を肌身離さず持ち歩いた。 就職とともに仕事の楽しさに目覚めるも、サービス業の鬼になってやろうと上ばかり見て躓くこと数えきれず。縁あって小説を出版し、創ること、生み出すことに満たされる自分を再確認した。美しさと健康の原点は、生きたい自分を生きることと信じ、鋭意執筆中。

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