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直感に従う生き方が、自分を磨く -アロマと紅茶のセレクトショップ 「matsurica」店主・笹本英恵さん
2015.12.18
アロマと紅茶のセレクトショップ「matsurica」の店主、笹本英恵さん。他にも一般社団法人アロマリーディング協会の代表理事、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会のスーパーバイザーなどなど、多方面で活躍されています。
編集部が取材へ伺うとすぐ、ハーブティーを淹れてくださった笹本さん。お店のことやご自身のことを、いきいきと話してくださるそのエネルギーの源は、どこにあるのでしょうか。
座右の銘は「人生流されてみるのもいいもんだ」
── このハーブティー、とても美味しいですね。
笹本英恵(以下、笹本) それはとあるマーケットで試飲して、あまりの美味しさに「取り扱いたい!」と口説いたんですよ(笑)。「matsurica」に置いてあるものにはどれも、どうやって出会ったか、誰がどこでどんな思いを持って作っているものか、語りきれないエピソードがあります。
── 紅茶とアロマとの出会いは何がきっかけだったのでしょうか。
笹本 アロマは26歳の時に体調を崩してから興味を持って勉強を始めたんですが、紅茶の方はもう少し前ですね。もともと大学を卒業後は結婚式場でウエディングプランナーと広報をしていたんですが、社会人2年目になって、会社と家を往復する日々に「このままでいいのかな」と、もやもやしてきたんです。
仕事は大好きで、休日でも会社に出勤しちゃうくらい。でも、それだとダメだと思って、子どもの頃から好きだった紅茶をきちんと勉強しようと思い、1年間ティーインストラクターになるための学校に通いました。
結果、この時に得た資格がいまの仕事にも生きていて、人生無駄なことってひとつもないんだなとしみじみ思っています。
── ティーインストラクターになりたいというよりも、好きなものを極めたいという思いが動機だったのですね。
笹本 そうですね、私はたぶん、感覚に従って生きるほうが向いているんです(笑)。長期的に計画して、「この資格とっておくとこれに活かせる」とか考えることが苦手。
一時は、論理的で戦略的な人になろうと頑張ったこともあります。でもなんとなく窮屈で、つまらない。紅茶も、「これをやっておけば役立つんじゃないか」と考えたわけではなく、その時ピンときたから選んだだけで。
今、何かはじめたいと思ったことが、たとえすぐに仕事や人生に活かせなくても、やってきたことや経験は明日か来年か10年後か分からないけれど、いつか必ず活きると思っています。大切なのは「本能的に、感覚的に選んだもの」をやるということ。それが、いくつもの仕事を通じて実体験で学んだことです。
── 選んだものには本能や心の声が表れるという笹本さんの価値観は「matsurica」にも「アロマリーディング®」に見事に反映されていますね。
笹本 私は道筋をきちんと立てることが苦手なので、だったらそれを無理に矯正しようとせず、そのときの流れに身を任せて泳いでいこうと思っています。そうすれば、最終的に自分の望むところにたどり着くと信じているから。だから、座右の銘は「人生流されてみるのもいいもんだ」だって、よく「matsurica」のお客様にも話すんです。うお座だから、こういう性格なのかな(笑)。
「matsurica」はいろいろな人が集まるターミナル
── 笹本さんでも、自暴自棄になることはあるのでしょうか。
笹本 自暴自棄というか、疲弊してしまうことはあります。やりたいことやアイディアが浮かぶと休息を忘れて仕事に没頭しちゃいますし、求められると嬉しいからもっともっとがんばって……あとで「あっ、無理したな」と気づくんです。
── そんな時は、どうやって復活しますか?
笹本 リカバリー方法のひとつとして、「駆け込み寺」を持っています。トリートメントサロンや誰かの家、公園でもどこでもいいから、自分なりの駆け込み寺を持っておくといいですね。
それから、食べものも大事ですね。自分で作ったご飯は、ものすごいエネルギーを持っていると思います。自分で作る時間がない時は外食でも「旬のもの」を取り入れるようにしています。最近は、薬膳料理がお気に入りですね。
── お買い物はもちろん、お店には笹本さんに人生相談に来る方も少なくないように感じます。
笹本 あはは(笑)。私の性格上、初めての人でも常連さんでも区別がないんです。お店も小さいから、ひとりのお客様と話している最中に、別の方が来ると自然とみんなで会話するようになる。だから、一人で来てもはじめてでも話しやすいみたいです。
ちなみに、私のアロマリーディング®のカウンセリングセッションはキャリアプランニングみたいになることが多いんですよ。時には仕事先を紹介することも(笑)。
── 私たち編集部も初めてうかがいましたが、とても居心地がいいです。
笹本 「matsurica」にいると根が生える、とおっしゃるお客様もいますね。それくらい、みなさんくつろいで長居してくださいます。都会の中で、そんなオアシスみたいな場所を、誰しもひとつは持っておくといいんじゃないかな。それこそ「駆け込み寺」ですね。
開店から6年ほど経った頃、常連だった絵描きの奥山知佳さんに、「matsurica」の世界観を描いてもらいました。都会の中にありながら自然を感じられる場所であり、自分の世界を持った人たちが集まるお店。私が世界各地から魅力的なモノをセレクトしてくるので、それをエイリアンで表現してくれてるそうです(笑)。
お客様のなかには、「『matsurica』はターミナルね」とおっしゃってくださった方もいます。お客様同士だけでなく、オーガニックコスメやフード業界の友人たちが居合わせて、ここから新たな仕事がうまれることも。裏ではそんなつなぎ役も果たしています(笑)。
笹本 私の特技は、ウエディングプランナーをはじめ接客を通じて、その人の潜在欲求をひきだすことなのだと気づきました。その浮かび上がった欲求に応えるプロダクトをお渡しして、お客様が「本当はこれが欲しかったんだ!」と笑顔になる瞬間がとても好き。時にそれは商品でなく、心の気づきという場合もありますね。
時々、顔の造作は綺麗だけど心惹かれない人って、いませんか? 単に肌や見た目の美しさを追求しても、周りを惹きつける魅力は手に入らないと思うんです。私がすてきだなと思うのは、自分の本能や直感に正直で、それに従って動いている人。
だからこそ「matsurica」では、五感を研ぎ澄ませて、自分を満たすアイテムを選んでいただきたいですね。自分で選択することは、自分自身を知ることですから。
頭ではなく心の声を聴こう
── お店をオープンされて、苦しいことや大変なことを乗り越えられた秘訣は何だったのでしょうか。
笹本 無理を“なるべく”しないよう、心がけることですね。なるべく、というのがポイントです。無理をしちゃダメだ!と言い聞かせると、エネルギーをセーブするのがストレスになってしまうから。
あとは繰り返しになりますが直感に従うこと。自分で選んだ選択肢だったはずなのに、死にそうなほど辛い経験もしました。失敗だったな、と思うことがあったとしても、きっと将来、当時の自分の選択に感謝することがあると思います。間違ったなと思ったことがあったら、それを意味あるものに変えるくらいの強さを持つことも大事だと思います。
笹本 最近の人たちは、頭で考えて選ぶことが多いように感じます。こっちのほうが得だから、とか、見栄えがいいから、とか……。そういう動機で選んで満足できるかというと、違うのではないかな、と。もっと自分の心に沿った選択の仕方でいいんじゃないかな。日々使うものを買うときも、仕事も、恋愛もね(笑)。
── 今後、笹本さんがチャレンジしたいことがあったら、教えてください。
笹本 作り手と使い手が交流する「場」を作ることです。それを実現したのが、「マツリカまつり」というイベントでした。普段、この小さな店内で紹介しきれないプロダクトを集めて開催しました。アート、フード、コスメの切り口で10ブランドほどですね。お客様も作り手本人とおしゃべりしながらモノを買うことに喜びを感じていたようです。今後は、年に数回開催する予定です。
いつか、作品展示やライブ、ワークショップもできるスペースが併設された、広めの「matsurica」をどこかに出したいな、とは思っています。
自分の「いいな」「好きだな」というアンテナを鈍らせず、これからも直感に従って進もうと思います。
お話をうかがった人
笹本英恵
代々木上原に生まれ育つ。ウェディングプランナーを経て、美容家吉川千明氏の元でアロマテラピーとオーガニックコスメへの造詣を深める。ジュリーク認定スパセラピスト養成講座の立ち上げ、フリーのアロマ講師として活動した後、2008年代々木上原駅前に「アロマと紅茶のセレクトショップmatsurica」開店。「選ぶ香りに意味がある」ことに着目し、香り選びから自分の心を読み解くココロチェック&ケアのアプローチ「アロマリーディング®」を体系化。2013年、(社)アロマリーディング協会を設立。代表理事として普及活動を行う。旅とアロマ、紅茶、アート、人が好き。
このお店のこと
matsurica
- 住所:東京都渋谷区西原3-13-5GNADE 上原101
- 電話番号:03-3466-1636
- 営業時間:13:30~19:00
- 定休日:日曜日、月曜日、第2&4火曜日
- 公式サイト、公式Facebookページ、通販サイトはこちら
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大人がすはだで暮らす時間を提案するウェブマガジン「大人すはだ」の編集部です。
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