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大人の女性の上質な旅にピッタリ。「今西家書院」と日本酒「春鹿」で古都・奈良を知る
2016.01.17
奈良というと、思い浮かぶものは何でしょう?
東大寺の大仏、春日大社、奈良公園……どこも見応えのあるすばらしい場所ですが、修学旅行のイメージが強い方も多いかもしれません。かくいう私も学生のころに訪れたイメージが強く、大人になってから奈良へ行こうと思い立ちませんでした。


ですが、奈良は日本で最初の条坊制都城(計画都市)・藤原京が置かれた町。これぞ日本の歴史といえる多くの文化が生まれた場所であり、何百年も継承された文化が人々の現代の生活に根付いている、生きた“いにしえの町”でもあるのです。
今回は、奈良で大人の旅にぴったりの極上の癒しスポット、「春鹿 今西清兵衛商店」と「今西家書院」。をご紹介。その魅力をたっぷりお伝えします。
古き良き日本の風情を肌で感じる「今西家書院」
JR奈良駅から徒歩25分、近鉄奈良駅から徒歩15分に位置する「ならまち」の最東端にある「春鹿 今西清兵衛商店」。
駅から徒歩圏内の「ならまち」は、江戸時代や明治時代から残る格子町屋が建ち並ぶ、歴史と遊び心の詰まった贅沢な一角です。そんな魅力的なエリアの中でも、一際異彩を放っていたのはこちら。春鹿の蔵元・今西家が管理する重要文化財「今西家書院」です。

今西家書院の入り口 長屋門

天井の高い広々とした土間を上がったところに受付けがある。
見学料350円。茶屋として利用することもでき、お抹茶や季節の和菓子、お隣の「今西清兵衛商店」イチオシの春鹿バームクーヘンなど、別途喫茶も注文することができます。(*1)
(*1) 喫茶のみのご利用は承っていないので、見学料プラス喫茶代金を頂戴しています。

「お抹茶と季節の和菓子」セット600円(税込)。写真の和菓子は柿葛ようかん
今西家書院はもともと、興福寺大乗院家の坊官を務められた福智院氏の居宅を1924年に今西家が譲り受けました。「書院(上段の間)」は1937年国宝建造物に認定後、1950年文化財保護法の施行に伴い重要文化財となり、現在に至っています。
電気のなかった時代は、一番上等な部屋ほど、一日中やわらかい陽の光が入る北側にありました。夏はひんやり過ごすための知恵でもあったという陰影ある光景は、「わびさび」「風情」の言葉がぴったりです。

書院。もともとは板の間で、鴨居と敷居を取り外すと元の状態に戻せる造りになっている
室内の大きな特徴は、接客や謁見に使われていた「書院」の間が建物の中で一番高い位置となるよう、上段・中段・下段と段差を設けているところ。床だけでなく天井も階段状に低くなり、部屋がだんだんと狭くなっていく三段階構造は、トリックアートを見ているかのようでした。

手前が上段。一番奥の部屋が下段で、従者などが控える間として使われた
海外の木造建築は、今の技術でも10年もすると傾き始めるそう。地震の多い日本で、およそ築600年の建物がこれほど美しく保たれていることに、匠の技の素晴らしさと人の真心を感じずにはいられません。
今西家書院では、この他にも「猫間障子(ねこましょうじ)」「唐破風(からはふ)」「網代編み(あじろあみ)の間」など、機能性を兼ね備えた、見れば見るほどため息の出るような美しい建築が見られます。見学に行くと室内の案内をしてくれますので、パンフレットと照らし合わせながらじっくり観察してみてくださいね。
大切に守られてきた歴史のひとコマに触れられる、上質な憩いの時間を過ごせます。
【基本情報】
- 見学料金:350円、※学生・シルバー(70歳以上)300円
- 住所:奈良市福智院町24-3
- 電話:0742-23-2256
- 見学時間:午前10時〜午後4時(受付:午後3時30分)
- 休館日 :月曜日・夏期・冬期・イベント開催時(詳細は、お問い合わせ下さい)
- 公式サイトはこちら
マイおちょこも手に入る!「春鹿 今西清兵衛商店」で地酒・春鹿のきき酒を
「旅の醍醐味は、食事とおいしい地酒を飲むこと」という人には、「春鹿 今西清兵衛商店」(今西家書院の隣)で体験できる、きき酒がおすすめです。季節によって5種類のお酒が用意されており、春鹿オリジナルのおちょことセットできき酒料は500円。ここでしか手に入らない奈良漬けの燻製など、試食兼おつまみとしてお店自慢の商品を出してくれるのも嬉しいですね。


個人的に女性へおすすめしたいポイントが、おちょこのかわいらしさ。一般的に、きき酒には日本酒の色を識別しやすいように白地に紺色の蛇の目(二重丸)の描かれた、いわゆる「ききちょこ」が使われます。「プロの目でいき酒をする」という意味では、それもいい経験かもしれません。とはいえ、やはり女性としては気分の上がる、かわいい小物を使いたいものですよね。
その女心に応えてくれるのが、この春鹿オリジナルおちょこ。

オリジナルといっても、「春鹿」と銘打っているわけではなく、さりげなく底部に鹿の模様が浮き出ているだけ。さらに、季節によって色違いのおちょこが入手できるので、集めるのも楽しそうです。外国人観光客がたくさん訪れるこのお店では、“春鹿の”ではなく“奈良の”お土産としておちょこを持って帰る方も多いといいます。
社長の今西清隆さんいわく、「底の深いぐいのみだと杯をあおらなければいけませんが、幅広で浅いこの形だと、顎を上げずに杯が空けられます。このおちょこだと、お酒を飲む姿も美しくなるんですよ」とのこと。女性ファンが多い春鹿ならではの発想がさすがです。
その時に出ているお酒とはどのような料理が合うかも教えてくれますので、お土産としてお酒を買う楽しみも増えますね。
駅周辺だけでも世界遺産が多く点在する奈良。京都の華やかさとはまた違う、しっとりと落ち着いた空気が魅力で、まるで何かにやさしく抱きしめられているように感じる町でした。
たくさんの遺産を巡り尽くすのも、旅の一つの楽しみでしょう。ですが、母娘で2人旅、気の合う女友だちとわいわいする旅、パートナーと過ごす非日常、大切な人と過ごす次の旅行は、文化に触れる癒しの奈良への旅にしてみませんか?
このお店のこと
春鹿醸造元「株式会社 今西清兵衛商店」
- 住所:〒630-8381 奈良市福智院町24-1
- 営業時間:AM8:15~PM17:15
- 定休日:お盆、年末年始
- 最寄り駅:JR「奈良」駅、近鉄「奈良」駅
- 電話番号:0742(23)2255
- FAX:0742(27)3585
- 公式サイトはこちら
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牧野絵美
音楽、芸術、書道と幼いころから“創る物”に没頭してきたインドア派。和の心をこよなく愛し、海外在住中も着物と書道具を肌身離さず持ち歩いた。 就職とともに仕事の楽しさに目覚めるも、サービス業の鬼になってやろうと上ばかり見て躓くこと数えきれず。縁あって小説を出版し、創ること、生み出すことに満たされる自分を再確認した。美しさと健康の原点は、生きたい自分を生きることと信じ、鋭意執筆中。
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