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コラム
【連載】からだを慈しむ、薬草の旅 vol.1|薬草って何だろう?
2015.07. 3
からだを慈しむ、薬草の旅, 地域, 新田理恵, 薬草, 連載
みなさんは、薬草茶を飲んだことはありますか?
「ドクダミ茶なら、飲んだことがある」という方や、もしくは「薬草茶って、何?」「ハーブなら使っているんだけど……」という方もいるでしょう。
日本に昔から自生していた植物は、じつは何種類もあります。それらをもっと、日々の暮らしへ取り入れたくなるような、連載「からだを慈しむ、薬草の旅」を、今日から始めます。お届けするのは、食卓研究家の私、新田理恵です。
連載「からだを慈しむ、薬草の旅」のはじまり
以前、私は、からだに良い料理や今よりもっと健康的な食事に挑戦したくて、生薬や薬膳茶を試していました。けれど、それらの国産のものは、ほとんど手に入らないのです。
調べてみると、生薬や薬膳茶の9割は中国からの輸入という現状。
「どうにか国産のものは手に入らないのかしら?」
そう思って、作っているひとの顔が見える、日本の薬草を探し始めました。
とくに、薬草文化が習慣として残っている九州から順番にリサーチし、旅を重ねていくと、ネットでは見つからなかった素朴でおいしい薬草がいっぱい!
薬草産業は高齢化、後継者不足など、他の伝統産業と同じような深刻な課題を抱えてはいましたが、 諦めることなくそうした問題に取り組み、町や自然を愛する素晴らしい方々に出逢いました。


「応援したい!」という想いと、「こういうお茶が欲しかった!」という喜びから、無農薬or天然育ちの薬草を使った伝統健康茶を作りはじめ、ローカルの薬草レポートを発信するポータルサイトを作りました。
この連載でも、日本各地で出会った、おもしろい薬草のお話を、みなさんにお届けします。
薬草とは?
まずは薬草とは何か、というお話から。
正式には薬用植物とも呼ばれ、薬用として使われる植物の総称を、薬草といいます。つまり「薬草」という言葉に草の文字が入っているけれど、広義では植物全体(根も、幹も、種も、実も含む)を指しています。
スーパーで売られている生姜も、根っこだけれど薬草と言っても良いのです。食用とされていても、薬効がしっかりあるものも混ざっています。
ちなみに「ハーブ」も、薬用と食用の両方の植物を含みますが、「ハーブ」は葉を指すことが多く、種や実などは「スパイス」と呼ばれるケースが多いのです。ハーブは西洋の伝統医学を、薬草は中国や日本など、東洋の伝統医学をベースに用いられているのが、ふたつの一番大きな違いです。
薬草は薬にも毒にもなる
「ハーブ」と「薬草」は、からだに良さそうなイメージがありますが、中には毒性がある植物もあります。
人間の智慧はすごいもので、無毒化する加工をしたり、量と用法を調べて、毒のはたらきを薬として使えるようにしたり、危険さを利用して殺虫剤などにして活用できるのです。たとえば、猛毒で有名なトリカブトという 植物も、加工して漢方薬の材料として使われています。
どんなものも、ある人にとっては薬となり、別の人にとっては毒になるのが、薬草です。
「自分のからだは、何を求めているのか」。
薬草と向き合っていると、いつもは我慢強いからだの声を、ゆっくり聞くことができるのです。

日本に自生している7,000種類ほどの植物のうち、5〜10%は薬草だと考えられています。ひとつの植物に含まれる成分は1,000以上とも言われ、人間がまだ知らないはたらきも、秘めているのです。
おいしくて、愛らしい、身近な薬草たち。一つひとつ、ご紹介していけたらと思います。
次回もどうぞ、お楽しみに!
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新田理恵
食卓研究家。管理栄養士であり、国際中医薬膳調理師。東洋と西洋、現代と伝統の両面から食を提案する。国産の生薬や薬膳茶が手に入らなかったことから、日本のローカルをめぐり、伝統健康茶ブランド{tabel}(タベル)を立ち上げる。
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