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【連載】からだを慈しむ、薬草の旅 vol.4|北海道のアイヌ民族の薬草のある暮らし

2015.09.12

ひまわりの種, アイヌ民族, ハーブ, 北海道, 薬草

南端から、ぐーんと北上してたどり着く、日本の北国・北海道。
 
実は私は、小学生の頃からアイヌ民族への憧れがありました。自然を畏敬し、共存してきた人々。アイヌ民族の暮らしに彩りを添えて来た薬草の旅へ、今回はご案内しましょう。

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北海道は、本当に広い。
 
遠別町(えんべつちょう)という、北海道のなかでも北部に位置する町がありますが、そこは人口2,900人弱の小さな町。町内で暮らすおじいちゃんたちが手作りしている笹茶だけでも、年間50トンも製造しているといいます。
 
日本の薬草生産はまだまだ大規模で大量生産できている所は少ないですが、北海道のこの広大な大地は、それを可能にする。とても希望が持てる場所でもあります。
 
北海道は札幌、函館、旭川と順々に開拓され、本州から希望を持ってやってきた屯田兵たちと現地の人びとによって、文化が創られていきました。長いあいだ北海道で暮らしていたアイヌ民族に対して、和人(本州から渡ってきた人びと)が、非常に差別的な対応をしていたことも歴史に残っています。

けれど、それまでの何百年もの間、とても優れた外交を行なっていたアイヌの人びとは、大陸や倭国ともうまく貿易をしながら共存していました。ワシの羽や毛皮を輸出し、ロシアの衣服や日本の漆器や刀などと交換していたようです。
 
中央部に行けば、アイヌ民族が和人に越冬の智慧を教えてあげたりして、助け合って生きていたというエリアもあります。

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博物館におさめられた、アイヌ民族の工芸品たち
 
アイヌ民族はあらゆる存在に対して、平等であるという意識があります。他国と対しても、自然や物に対しても、魂をもったものとして畏敬の念をこめて接します。神ですら、ある意味対等であり、祈る人がいなければ神も神ではいられないという、陰陽に近い感覚があるのだとか。
 
すべてのものへの敬いがあるからこそ、長年つづく平和を築けた民族なのではないでしょうか。あの永く続いた縄文時代の優れた社会のエッセンス……大地を、自然を、この地で生きるすべてのものと共有し、他と共存するという心が、アイヌ民族の精神には宿っているように感じます。
 
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二風谷の道端。色んな薬草も生えています
 
今回は、北海道南部でアイヌのお母さんが切り盛りしている民宿に泊まり、薬草のお話を聞きました。

①ヨモギの化粧水

まず、教えてもらったのは、アイヌ民族の女性が作っていた美容ローション。ヨモギをたくさん摘み、お酒に漬け込んで化粧水にしていたようです。
 
500mlの容器にぎゅぎゅっといっぱいのヨモギ(生葉)を詰め込み、焼酎を1/3ほど入れます。常温で1~2週間ほど置いておくと、焼酎にヨモギのエキスがたっぷり溶け出します。
 
炎症を抑える効果もあり、身体をあたためて血色を良くしてくれます。アルコールなので、肌の弱い方は水で希釈したり、少し加熱してアルコールを抜いたりしてくださいね(香りも少し飛んでしまいますが……)。
 
アイヌ民族のおばあちゃん
アイヌ民族のお母さん。刺繍や料理や台所のことなど、いろいろ教えてくれました

②カボチャの種のお茶

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かつて、アイヌの人びとは、カボチャの種を洗って乾かし、炒って食べたそうです。「そういえば昔は、カボチャの種のお茶を作っていたわ」と、教えてくれました。
 
種を洗って乾かし、炒るという行程は同じ。しっかり強めに炒り、コーヒーのような香ばしさをつけるのだそうです。
 
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他にも水甕に香りの良い木の皮を入れてハーブウォーターを作ることもあり、アイヌ文化のなかで薬草は、ティータイムというよりは、食事の楽しみの一環として取り入れていたようです。
 
薬用に使ったハーブも、植物園で200種類ほど見ることができました。アイヌ民族も、自然の中に薬と、日々のおいしい楽しみを見出していたのですね。
 
次回は、その代表的な薬草のひとつである、ナギナタコウジュをご紹介します。
 
★★★
 
新田理恵

新田理恵

食卓研究家。管理栄養士であり、国際中医薬膳調理師。東洋と西洋、現代と伝統の両面から食を提案する。国産の生薬や薬膳茶が手に入らなかったことから、日本のローカルをめぐり、伝統健康茶ブランド{tabel}(タベル)を立ち上げる。

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