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【連載】からだを慈しむ、薬草の旅 vol.6|暮らしに身近な薬草たちとの付き合い方
2015.10.17
日本の南端から、北端へ。
4回にかけて沖縄から北海道へ大移動をしてきた日本の薬草の旅は、いかがでしたでしょうか。
本州とはまた違った世界でしたから「薬草っておもしろそうだけど、北海道や沖縄はなかなか行けないな」と、思われる方もきっといらっしゃるはず。
かく言う私も大阪市生まれ、横浜市在住ですから、土の少ない都会ではなかなか自然と触れられないもどかしさを感じていました。

今は、お庭付きの古民家に住んでいるので、ずいぶん植物と触れ合う時間も増えましたが、今回は庭がなくても手に入りやすい、都会に潜む薬草を2つご紹介します。
なるべく空気が綺麗で、人や動物の通りにくそうなところ、収穫しても良い場所のものを採って、ぜひ生活に取り入れてみてくださいね。
1:においが強烈な「ドクダミ」

道ばたの日陰で、よく見かけるドクダミ。茎は赤色、深緑のハート形の葉っぱ。香りも強烈ですから、見付けやすいかと思います。
お料理に使う時には葉が柔らかい4〜5月が狙い目で、生い茂ってツボミをつけているものがおすすめ。エグみが強いので,てんぷらにしたり、油で20〜30分しっかりと炒めて使います。
例えば、ドクダミカレー。数本のドクダミを刻んで玉ねぎと一緒に長く炒め、その後はいつも通りのカレーのレシピに沿えば大丈夫。
デトックス効果が強く、とてもからだを冷やす薬草なので、冷え性の方は控えるか微量でお試しくださいね。

ドクダミは、繊維が固くなってきたものを使って、お風呂用の香り付けをすることができます。
茎から上(地上に出ている部分)を摘み、さっと水洗いして束ね、日陰で吊るして乾燥します。湿度の低い常温の場所なら、容器に入れて1年ほど保存できます。
片手たっぷり一つかみくらいの量を、ガーゼなどの布に包んでお風呂を沸かす時に湯船に入れるとドクダミ風呂ができます。暑い日や肌の調子が良くない時にスッキリできるお風呂。ぜひお試しを。
2:秋の訪れを知らせるイチョウ

日本ではおなじみの、イチョウ。街路樹でもよく見かける、秋の使いです。
じつはイチョウからもお茶が作れるって、ご存知でしたか?
葉を緑のうち(5〜8月が一番良い)に摘みとり、さっと水洗いして日陰で乾燥させます。
その葉を急須に入れてお湯を注ぎ、3分程蒸らします。葉は、乾燥したものにそのまま湯を注いでも大丈夫ですし、軽くフライパンなどで炒っても香ばしくて美味しいんです。
イチョウ茶は、記憶力低下を防ぎ、ボケ防止に良いと言われています。ただ、イチョウにはアレルギー物質が含まれるので、抽出時間は3分以下、1日1杯から始めて、いきなり大量には飲まないようにしましょう。銀杏アレルギーの方や、一杯飲んでみて合わなさそうな方はお控えくださいね。

日本に自生している植物は約7000種。そのうち200種類ほどが、身近なところに生えている薬草だと言われています。
生活を彩ってくれるような植物たちが、何気なく歩いている道にも生えているかもしれません。是非、季節ごとに違った自然の生命力に触れ、健やかな暮らしを楽しんでみてくださいね。
慈しみの時間を、どうぞ召し上がれ。
★★★
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新田理恵
食卓研究家。管理栄養士であり、国際中医薬膳調理師。東洋と西洋、現代と伝統の両面から食を提案する。国産の生薬や薬膳茶が手に入らなかったことから、日本のローカルをめぐり、伝統健康茶ブランド{tabel}(タベル)を立ち上げる。
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