大人すはだ大人がすはだで暮らす時間

TOP » コラム » 【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一八)都内で銭湯にどっぷり"浸かる"暮らし

コラムコラム場所

【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一八)都内で銭湯にどっぷり"浸かる"暮らし

2016.04.10

久松湯, 人口炭酸泉, 温泉, 銭湯

ここ10年ほど、自宅の風呂には入っていません。そう話すと、よく驚かれますが、銭湯や温泉が好きだから外へ通い風呂をしているんです。広々としたお風呂に入ると、ついついその心地よさに惹かれ、和んでしまうからなのです。
 
なぜ、家に風呂があるにも関わらず、通い風呂をするようになったのか……。キッカケはいくつかありますが、夏場にサイクリングで都内を巡っていた時、汗が吹き出てどうにもならない気分になり、途中で銭湯に思わず立ち寄って着替えたことも、その一つでしょう。

木村湯
 
銭湯巡りを始めた頃、下町では多くの由緒ある銭湯が姿を消していきました。そうした思い出を共有するルーティンであったのかもしれません。日本橋蛎殻町にあった木村湯は2007年(撮影時)に廃業となります。
 
ちょうどその時立ち寄った銭湯が、ひと昔前とはだいぶ違っていて、サウナとか電気風呂とか、さまざまな機能性がある風呂で、その充実ぶりに魅せられてからは、まさに“どっぷり浸かる”体験となりました。

銭湯めぐりを始めたきっかけは…

また、社会人となって働き始めて間もなくの頃、先輩から思いがけない一言を告げられます。「今週から忙しくなるぞ、徹夜は覚悟しておけ。でもすぐ近所に温泉があるから、疲れを残さぬよう、まず銭湯に行ってこい!」と。
 
そう言われても、終電で自宅へ帰れる距離なのにわざわざ銭湯に行けという真意が疑われたのですが、先輩から続けて発せられた言葉にグッと惹かれました。「そのお湯はさ、真っ黒な温泉で、まるでコーラみたいな色なんだぜ!」。
 
黒湯
 
今はもう、その温泉銭湯は廃業してしまいましたが、関東では有名で黒湯と呼ばれ、見た目は黒褐色の井戸水を沸かしたものでした。

先輩からの意外な助言から始まった銭湯との出会いを経てからというもの、都内や横浜~千葉県など近隣で温泉とよばれる認定を受けた“銭湯めぐり”が自分のなかでルーティンとなっていくのです。それから数年が経ち、廃業を余儀なくされた温泉銭湯も多く、現時点で通えるであろう範囲内での銭湯も数少なくなってしまいました。
 
銭湯
タイル絵や富士山の有る、昭和の銭湯らしい風景。大正創業の現役銭湯、三河島・帝国湯。
 
各地の温泉の良さや井戸水を沸かした銭湯のよさは、ここに書くまでもなく得難い効能があります。平成の世も頑張って経営を続けている銭湯は、その特徴を活かした企業努力をされているように思います。
 
遠くの温泉より近くの銭湯、とは使い古された言葉でしょうが、都内では、なかなか天然温泉の恩恵に浸ることは難しいのですが、見近な都内近郊の銭湯や温浴施設には、高濃度人工炭酸泉とよばれ、細かな気泡を発生させる装置によって、温泉並の効果を期待できるものもあるのです。

天然温泉に負けない高濃度人工炭酸泉が魅力。練馬区の「久松湯」

世の流れに応じて銭湯に対するイメージも変わりつつあります。快適さを求めて、公衆浴場としての未来を描けるような施設も生まれてきました。
 
久松湯
東京都練馬区にある「久松湯」
 
2年ぐらい前にリニューアルされてから、たびたび利用している練馬区桜台の「久松湯」は、開放感や清潔感があり、明るい銭湯です。その使い易さから、銭湯へ行くこと自体が億劫だと思える方々にも、ある意味、新たな発見や驚きをくれるかもしれません。
 
デザイナーズ銭湯、と自分は表現しますが、けっして行き過ぎた装飾性とか、無意味なアトラクション機能などはありません。そこに広がるのは、日常的に快適に過ごせる癒しの空間です。
 
久松湯
 
「久松湯」は、脱衣所と浴室双方に採光を十分生かした、これまでの銭湯にないような自然な明るさがあり、モダンな外観と内装です。広々として天井が高く開放感がある、高級感さえ感じさせたカランとシャワーなども、銭湯料金で使えると思えば贅沢な気分に浸れます。
 
露天風呂
都内でも珍しい、塩っぱい温泉。久松湯の露天風呂。
 
井戸水を使って冷水の浴槽完備に加えて、ぬるめの人工炭酸泉、やや熱めの天然温泉仕様の露天風呂など、旧来の下町銭湯にありがちな熱くて入り難い湯船一本勝負というハードルを低くしている……そんな感じを抱きます(あくまで私個人の感想です)。
 
「久松湯」のメインとなる内湯の浴槽は広く設えられ、水風呂や適温な大浴槽、そしてややぬるめに温度設定された人工炭酸泉の浴槽があります。人工炭酸泉に数分間じっくりと浸かることで、皮膚の毛細血管の血行促進効果が加わり、温まりが持続することと、新陳代謝が高まって皮膚の汚れも落としやすく、より美肌に近づけます。
 
加えて「久松湯」には、地下から掘りあげた天然温泉(ナトリウムー塩化物強塩泉)の露天風呂が控えています。ぬるめの人工炭酸泉に浸かり、やや熱めに温度管理された天然温泉に浸かり、さらに水風呂でさっと身体を引き締める……この繰り返しがなんともクセになる、都内の貴重な銭湯の一つなのです。

この銭湯のこと

桜台温泉 久松湯
  • 住所:練馬区桜台4-32-15
  • 電話番号:03-3991-5092
  • 定休日:毎週火曜日
  • 営業時間:11:00~23:00
  • 入浴料金:大人 460円
  • 公式サイトはこちら
 
★★★
★薬膳と暮らす台湾の日常
★きっかけはすっぴん〜シンプルになるきっかけ〜
★すはだで暮らすひと
桃猫

桃猫

東京生まれ。茶人として各地に赴き、日々、中国茶の茶話会を開催。とうきょうの街歩きをフィールドワークとして銭湯、寺社、名跡などを探索するうちに、グルメや趣味の数々をつづったブログ=桃猫温泉三昧を継続し、今年10周年を迎えた。その趣味は多岐に渉り、銭湯と温泉巡りで960湯達成、鉱物マニア、古書蒐集、無類の麺喰いでもある。スピリチュアルな方面にも詳しい。

桃猫の記事一覧

  • 【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一九)食卓に欠かせないフランス産「ゲランドの塩」との出会い

    コラム

    【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一九)食卓に欠かせないフランス産「ゲランドの塩」との出会い

    2016.05.15

  • 【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一八)都内で銭湯にどっぷり

    コラム

    【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一八)都内で銭湯にどっぷり"浸かる"暮らし

    2016.04.10

  • 【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一七)春先の手土産には「向島 長命寺」の桜もちを

    コラム

    【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一七)春先の手土産には「向島 長命寺」の桜もちを

    2016.03.25

  • 【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一六)七福神のセンター「大黒天」は台所の神様

    コラム

    【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一六)七福神のセンター「大黒天」は台所の神様

    2016.03.11

  • 【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一五)七福神のイケメン担当?虎とムカデを従える戦の神様「毘沙門天」

    コラム

    【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(一五)七福神のイケメン担当?虎とムカデを従える戦の神様「毘沙門天」

    2016.02.26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

おすすめ記事

  • 【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(十)冬本番!寒い日に入りたい、共同浴場のあつ湯のススメ

    コラム

    【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(十)冬本番!寒い日に入りたい、共同浴場のあつ湯のススメ

    2015.12. 4

  • 【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(六)魅惑の濁り湯

    お役立ち

    【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(六)魅惑の濁り湯"グリーンの温泉"を求めて

    2015.09.26

  • 【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(二)暑い夏だからこその、ぬるい温泉のススメ

    コラム

    【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(二)暑い夏だからこその、ぬるい温泉のススメ

    2015.07.25

編集部ピックアップ

  • ぬか漬け生活2週間目、5日間の旅行に出ても大丈夫でした

    ピックアップ記事

    ぬか漬け生活2週間目、5日間の旅行に出ても大丈夫でした

  • お手軽、ぬか漬け生活はじめました!!

    食べる

    お手軽、ぬか漬け生活はじめました!!

  • 【連載】目をそらしていた自分と向き合う第一歩|○○系からの成仏(最終回)

    コラム

    【連載】目をそらしていた自分と向き合う第一歩|○○系からの成仏(最終回)

「大人すはだ」限定のコラム連載中

  • からだを慈しむ、薬草の旅
  • 四季のたしなみ、暮らしの知恵
  • 発酵兄妹・妹の 発酵とすはだのおいしい関係
  • すこやかに生きること
  • おかわりおやつ
  • 酸いも甘いも家族の内
  • 中島デコのうみ•そら•みどりを召し上がれ!
  • 小手鞠るいのNYの森からきれいに私生活
  • あきゅらいず美養品
pagetop