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【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(六)魅惑の濁り湯"グリーンの温泉"を求めて

2015.09.26

グリーン, 五色温泉, 国見温泉, 温泉, 熊の湯温泉, 花咲温泉

子どもの頃、家から少しだけ離れたところにある銭湯が好きで、わざわざ通っていました。ワクワクするのは、子どもの私には珍しく見えた、薬湯と呼ばれる緑色の入浴剤の浴槽があったから。
 
色付きで匂いのする、しかも身の丈に不相応な深めで熱いお湯に浸かるのが密かな楽しみで、子どもながらに大人びた気持ちを味わっていたのだと思います。

山田温泉
千曲川を挟んでエメラルド色した温泉が集まる、戸倉上山田温泉
 
大人になったある日、偶然にも温泉好きな旧友に出会い、話題は旅行の話へ。その時、友は言いました。「東北岩手にある国見温泉へ行って来たんだけど、それが鮮やかな緑色した温泉で、珍しくて感激した」と。
 
緑色した温泉と聞いたとき、わたしのなかでは、かつて好きだった薬湯の情景が思い出とともに浮かび上がってきました。そして次の瞬間、「緑色した天然自然の温泉があるのならぜひ、この目で確かめたい」と思い、ようやく念願叶って国見温泉へと行くことになるのでした。それくらい、緑色した温泉は、わたしを温泉旅行へと掻き立てるのでした。
 
国見温泉
岩手県の国見温泉

温泉の色が多様な理由

見かけだけを言うと、温泉の色は千差万別。しかも天然のものであるからこそ、気象条件や給湯の仕方によって、お湯の状態は日々変化します
 
一般的に源泉が地下から湧出する瞬間では、大概、無色透明なことも多いのですが、地上に出た途端、空気に触れ、泉温も下がることでマジックは起きます。お湯は、刻一刻と変化し、見た目では濁ったように見えるケースもあります。
 
温泉ごとに色合いが違って見えるのは、成分のなかに鉄分が多ければ茶色っぽい濁り、硫黄成分が湯華となって浮遊する度合いが多ければ白濁して見えるなど、大まかな捉え方はできます。しかし科学的な見地からの分析はハッキリとは解明できてないケースも多く、個々の条件にゆだねられることも多いのです。
 
それだけに魅力的で、日ごとに透明からグリーン、やがて白濁して五色に色合いの変わる温泉だとか、気圧や気温の変化により多種多彩な姿を魅せる温泉にこそ、却って自然の恩恵を強く感じさせます。

鮮やかなグリーン色の濁り湯

さて今回は、東日本エリアで、特に鮮やかなグリーン色の温泉をいくつか紹介しましょう。

まず2トップは、冒頭に登場した岩手県岩手郡雫石町にある国見温泉。ほぼ秋田県との境に位置し、田沢湖からも近いです。冬季は閉鎖されてしまいますが、山の上部にあって、高原の山小屋を思わせる温泉地です。
 
そしてもうひとつの代表格は、長野県下高井郡山ノ内町、志賀高原にある熊の湯温泉で、場所は万座温泉がある群馬県境に近いです。このふたつは、色合いもそっくりで、まるで某入浴剤を思わせるライムグリーンのような黄緑色に近い鮮やかなグリーンをしています。

熊の湯温泉
 志賀高原の熊の湯温泉
 
グリーンの温泉は泉質的に硫黄泉が多いです。温泉成分として含まれている、硫黄やカルシウムが粒子となって集まると、それらが太陽光を拡散させ、いわゆるレイリー散乱によって緑色に見えるとされています。

白濁に見えるお湯が、しばしば青色っぽく見えるものに黄色い硫黄成分が重なって黄緑になる、と大まかに捉えればいいでしょう。
 
五色温泉
長野県の五色温泉
 
また同じく硫黄成分が多く含まれた泉質の温泉で、透明から濁り湯まで変化はしますが、ときにエメラルドグリーンっぽく見える温泉があります。
 
地域別に見ると、長野県なら、野沢温泉の一部、秋山郷の屋敷温泉、新潟県なら花咲温泉、月岡温泉などに分布しています。また、鳴子温泉郷にある川渡温泉などもまた、ウグイス色っぽいグリーンなお湯が特徴的です。
 
屋敷温泉
長野県、秋山郷の屋敷温泉
 
グリーン色の温泉だけに特別な効能があるというわけではないでしょうが、一般的に硫黄泉としての泉質に準じた効き目は感じられる温泉場が大半です。

色をテーマにして温泉を巡ってみる、そんな興味が掻き立てられる、秋の行楽シーズンへといよいよ突入です。
 
★★★

★すこやかなすはだは、すこやかな暮らしから
★お風呂は贅沢な自分時間!
 
桃猫

桃猫

東京生まれ。茶人として各地に赴き、日々、中国茶の茶話会を開催。とうきょうの街歩きをフィールドワークとして銭湯、寺社、名跡などを探索するうちに、グルメや趣味の数々をつづったブログ=桃猫温泉三昧を継続し、今年10周年を迎えた。その趣味は多岐に渉り、銭湯と温泉巡りで960湯達成、鉱物マニア、古書蒐集、無類の麺喰いでもある。スピリチュアルな方面にも詳しい。

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