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【連載】四季のたしなみ、暮らしの知恵(十)冬本番!寒い日に入りたい、共同浴場のあつ湯のススメ
2015.12. 4
木枯らしが吹く頃になると、妙に恋しくなるのが熱めの温泉。しかし、あんまりに熱いお湯には長く浸かっていられません。でも、いつかは熱い湯舟に浸かって地元のひとたちの輪に入りたい……。
そんな願望を叶えるべく、共同浴場デビューに向けての“あつ湯・指南“と参りましょう!
そんな願望を叶えるべく、共同浴場デビューに向けての“あつ湯・指南“と参りましょう!
あつ湯デビューへの道

草津温泉の観光名所でもある湯畑
湯舟の湯温、許容範囲は、人ぞれぞれ。ふつうは40℃前後が適温でしょう。それに対して、草津、蔵王、野沢温泉など山間部の有名温泉地では、外湯とよばれる共同浴場が、すべからく源泉掛け流しのため、外気温が低いのに対し、つねに激アツな温泉が湯舟に満たされています。
あつ湯の入り方
冷水で水温を調節できるように蛇口やホースなどある場合は、先客に一言告げたり、後から入る人のことを弁えたり気を配った上で、適度に加水しましょう。極端に埋めすぎないのがマナーです。また湯を掻き混ぜるための湯もみ板があったら、それを使って冷ますのも手順です。

温泉街のそぞろ歩きも楽しい、宿泊すれば無料の長野県・渋温泉街の共同浴場
まず、湯端に座って、あつ湯を足元から手や肩などに順に掛け湯をしましょう。何度もお湯をかぶることで温浴と同じ効果を得ます。
熱さにからだが馴れ始めたら、そっと足先から静かに浴槽へと身を沈めてください。動くと熱さを感じますが、動かなければなんとかなるものです。この際、お湯の上層部が熱くなっており、底の部分は比較的我慢できる程度の水温である可能性もあります。慌てず騒がず、冷静にお湯の温度にからだを馴らし、熱さの感覚をつかんでいきましょう。
あつ湯は、浸かるのは短時間であっても得られる温感が高い分、はたらきが鈍っていた免疫機能や代謝機能へスイッチが入ることが期待できます。一種のショック療法のようではありますが、ふだんでは得られない効果も確かにあります。

数年前に草津・湯畑前に新設された、公共の日帰り温泉施設、御座之湯
しかし、あつ湯での長湯は禁物です。ぬる湯の際に効果として得られるリラックス効果とは違い、あつ湯には覚醒効果があります。浸かりすぎると、体内の循環が活性化され過ぎる恐れがあります。
そのため夜に入るのではなく、朝湯として目覚ましの代わりに浸かり、からだの感覚をシャープに研ぎ澄ませるには、向いていると言えそうです。
コツ①焦らずお湯と対話すること
人生で熱くて浸かれないほど、マジで激アツ温泉とはじめて出会ったのは、若い頃に湯河原温泉の共同浴場である「ままねの湯」でのことでした。地元の方々が、浴槽に入らず、床で休んでいたのを不思議に思い、聞いてみると掛け湯をしながら徐々にからだを温泉の温度に馴らしていき、無理に浸かる必要はないとの答えが。浴槽に深く浸かることだけが、あつ湯の本意ではないのでしょう。

那須湯本温泉街で旅館・民宿に宿泊すると入れる特権である共同浴場
やがて、湯舟に入りたくなったら、各人が思い思いのタイミングで、ゆっくりと浸かって、入ったら一切身動きはしません。熱いお湯と付き合うコツを各人が会得しながら、お湯と馴染んでいく様子を見ながら、お湯との対話が必要なんだとなんとなく理解しました。
コツ②地元の方々の生活の場にお邪魔している意識を忘れずに
源泉掛け流しを礼賛しながらも温泉地でありがちなのが、その源泉が激アツで浸かれないこと。
宿泊する旅館やホテルなどでは、専門の湯守などが人肌に見合った温度管理をしてくれます。しかし、せっかく有名温泉地を訪ねた折には、やはり現地の人との交流も兼ねて、共同浴場へと赴いてみたいもの。そこでまず大切なのは、お湯を頂く感謝の気持ちと地元の方々との挨拶励行から。
宿泊する旅館やホテルなどでは、専門の湯守などが人肌に見合った温度管理をしてくれます。しかし、せっかく有名温泉地を訪ねた折には、やはり現地の人との交流も兼ねて、共同浴場へと赴いてみたいもの。そこでまず大切なのは、お湯を頂く感謝の気持ちと地元の方々との挨拶励行から。

蔵王温泉街ではお馴染な下湯共同浴場
各地の温泉地には、地元の方々が管理し、自らが毎日お湯を使う公共浴場があります。それぞれの地域で管理の仕方も違いがあり、やはり外部からの観光客ならばルールとマナーをわきまえてなければなりません。
まずは、入浴料金の掲示あるなしに関わらず、それなりの感謝と少額でも喜捨は忘れずに。必ず、人に出会ったときは挨拶を交わしましょう。そして湯舟に入る前に腰を低くした態勢でからだを洗い、掛け湯を忘れずに。ひと言,ふた言交わすうちに、旅人を受け入れてくれるタイミングが生まれるはずです。湯の中では、誰しも平等なのですから。
コツ③水温と外気の温度差に注意
ヒートショックと呼ばれる、外気温と浴室の温度差には十分注意が必要です。宿泊先であれば旅館やホテルに暖房などの設備は完備されているでしょうが、こと共同浴場には脱衣場と浴室が一体化された構造の建物、いわゆる湯小屋が多いため、外気温と温泉との間に温度差がありすぎるのが難点なのです。そのためにも、掛け湯等を欠かさずに、特に寒い冬場には無理なくからだと湯温とのギャップを埋めていくことが大切です。
あつ湯に浸かれる共同浴場3つ
- 栃木県・那須湯本温泉・鹿の湯
歴史ある那須湯本温泉の総湯元であり、公共の共同浴場としては大きく綺麗で人気があります。女湯には46℃が上限となっていますが、41~48度まで、6種類の温度設定で浴槽が分かれています。かぶり湯という、のぼせ防止の入浴法が実行されてます。
- 長野県・野沢温泉
すべてが、熱い源泉掛け流しをモットーに13箇所ある共同浴場は村で一括管理され、無料にて入浴可能です。大半が熱いお湯で満たされた浴槽ですが、“熊の手洗い湯”など、なかには若干熱さを耐えられるような、温めの湯小屋も存在しています。
- 群馬県・草津温泉
群馬の名湯、熱さで鳴らす草津温泉では、昔ながらの外湯=三箇所だけ(地蔵の湯、白旗の湯、千代の湯)と大きな公共施設、御座之湯、大滝乃湯、西の河原露天風呂が硫黄の香りで迎えてくれます。
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桃猫
東京生まれ。茶人として各地に赴き、日々、中国茶の茶話会を開催。とうきょうの街歩きをフィールドワークとして銭湯、寺社、名跡などを探索するうちに、グルメや趣味の数々をつづったブログ=桃猫温泉三昧を継続し、今年10周年を迎えた。その趣味は多岐に渉り、銭湯と温泉巡りで960湯達成、鉱物マニア、古書蒐集、無類の麺喰いでもある。スピリチュアルな方面にも詳しい。
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