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【連載】家事を必死に頑張っても、幸せにはなれない|酸いも甘いも家族の内⑤

2016.02.28

ヒビノケイコ, 仕事, 女性, 家事, 家族, 生き方, 酸いも甘いも家族の内

4コマ漫画エッセイストのヒビノケイコさんが、ブログでは言えない、家族にまつわるここだけの話をお届け。かつて家事と仕事を完璧にこなそうとしていたケイコさんですが、最近は「家事も仕事も両立しません」宣言(!)を発表。家族も自分も、心地よく暮らすためには、いったいどうすればよいのでしょう?

家事は嫌いじゃないんです。でも……

ヒビノケイコさんの漫画
 
みなさま、先に言っておきますが、わたし、家事自体は嫌いじゃないんですよー。だけどね、なにぶん非常に偏った仕事の仕方をしてしまって、最近では講座の仕事で出張も増え、家を空けることも多くなりました。
 
こんなわたしも根はマジメなので(意外でしょ)過去には仕事も家事もカンペキにこなそう!という時期があったんですよ。でも、どんどんどんどん疲れがたまって……そして罪悪感とイライラも増して、家族も自分も追い詰めちゃうことに。つまり、カンペキを目指せば目指すほど、効率が悪くなっちゃったんですね。
 
その時、改めて考えたんです。「それならむしろ“両立はしなくていい”を前提にした方がよくない?ラクにやっていい、と思える心の余裕は、家族の余裕につながるはず」と。
 
***
 
時々、こんなわたしのもとに、わたしよりずっとずっと家事も仕事もちゃんとしている女性たちが相談に来ることがあります。そして、彼女たちは言うんです。

「頑張りすぎてしんどい」「イライラして子供にあたっちゃう」「なんでわたしはこんなにできないんだろう」って。
 
涙目で語る彼女たちを見ながら「そんなに思い詰めなくても大丈夫だよー」って、肩をぽんぽんしたくなるんです。
 
ということで、わたしには到底家事のアドバイスはできないですが(むしろ教えてくださいませ)、心の重荷を降ろして、家族で楽しく暮らすためのアドバイスならできるかも!そんな角度から、今日の記事を書いていきますね。

できなくてイライライラ…爆発!!を回避するには

例えば、夜。仕事から帰ってきて、急いでご飯の支度をする。終わるやいなや、子どもを寝かしつけるまでに、次は「ああ、あそこの床、くすんでいるなあ、拭かなきゃ」「明日のごはん、あと一品作り置きしたい」「でも急がないと時間がない!」そんな風に洗い物をしながら頭の中で段取りを考えていると、子どもが「ねえねえ、お母さん、こっち来て!」と話しかけてきて、イライライラ。
 
とうとう「もう、お母さんは今忙しいんだから!あっち行ってて!」と爆発! ……こんなふうに、怒鳴ってしまったってこと、ありませんか?
 
または、夫が料理を担当してくれた日。疲れて帰ってきて、「この味ビミョーだね」「なんでこんなに切り方が下手なの」なんて、口を開けばダメ出しばかり。だって、わたしはいつももっと頑張ってるもん。けど、気づけば食卓の雰囲気までどよ~んと暗くなってしまって、ますます落ち込む。
 
いつも一生懸命なのに、どうしてかうまくいかない。家事も仕事もきちんとやりたいのに……。
 
でも、わたしは、家事も仕事も「両立しなくていい」と思っています。どうしてかって?
 
じゃじゃーん!「減点方式」から抜け出せるんですよ

減点方式
 
カンペキにこなそうと思うと「あれができない、これができてない」って、ヌケ・モレばかりが気になるでしょ。でも、どんなにがんばったって、時間も体力も限られている。だから、カンペキにできることなんて実際はなかなかないし、無理しすぎたり、罪悪感がつのったりと、さらにしんどくなるだけなんです。
 
でも、「もともと両立しなくていい。できなくて当たり前」が前提なら……? 洗濯がたためた時には「わーい!洗濯がきれいにたためた。今日はラッキー」。おいしいごはんができたときには「やったー今日はおいしいごはんが作れた!しあわせ~」。ぜんぶプラスにとらえられます。こんな風な心持ちでいると、精神衛生上、すごく良いですよ〜。

家族との家事分担は加点方式で考える

うちの場合、家事は「できる時に、できる人が」する方式。わたしが忙しい時は夫が、反対に夫が忙しい時はわたしが中心になって家事をします。
 
周りの女性からは「夫には家事を分担してほしいけど、やり方が気に入らないんだよねー」という声を聞きます。

うーん。わかる。でも、そんなときこそ必殺!加点方式で。減点方式だと、できないことばかり目についてしまいますが、加点方式だと「してくれるだけでありがたい」と思えるんですよ。さらに「わー、台所をキレイにしてくれてありがとう!」なんて感謝の言葉を多めに(そう、だいぶ多めに!)添えると、自然と旦那さんが手伝ってくれる頻度も増えるんじゃないかなあ。
 
とにかくハードルは低め、低めに。そして、じわじわと続けてもらう。その方が、手伝った方も手伝ってもらった方も、お互い気持ちよく過ごせます。

極めるのも大事だけど、こだわり過ぎない

わたしは、料理が好きなので、時間があるときは心を込めておいしいものを作ります。だけど、しんどかったら外食したり、出来合いのものを取り入れたりしちゃいます。完璧主義過ぎてしんどかった頃は、どうしても譲れなかったんですけどね。
 
例えば、働いているお母さんが栄養バランスを考えながら、毎食一生懸命作ってくれる姿には、ほんとに頭が下がります。でももし、それが負担でイライラして子どもにあたってしまうと、子どもだってしんどい。「おかずは1品でもいいから、機嫌よく笑っていてほしい」。そんな風に思うんじゃないでしょうか。
 
自分なりの軸は持ちながらも、心やからだの調子に合わせて、柔軟に切り替える。それが食事の栄養バランスを考えるのと同じか、それ以上に、大切な時もあります。
 
***
 
友達を見ていても、メリハリをつけるのがうまい人は、精神的に余裕があるなって思うんです。マクロビ料理の先生でもある友人は、毎日丁寧に、ポリシーを持って料理を作っています。だけど、彼女の良いところは、疲れたら無理せず外食するところ。そして、いつもとは違うタイプの料理を「おいしいねえ」と家族で楽しんじゃう。そうやって、心のバランスを取っているんです。
 
極めているけど、こだわりすぎない。だからこそ彼女たちは、マクロビではない人をも受け入れてくれる、うつわを持っているのだと思います。

本当に大切にしたいことは「家事を100%こなす」こと?

家族でいる時間。あなたが本来、一番大切にしたい目的はなんでしょう?
 
それは、「子どもと目一杯楽しく過ごすこと」かもしれないし、「家族みんなで和やかな時間を過ごすこと」かもしれません。
 
真面目な人ほど、家事にしろ何にしろ、手をつけると「カンペキにこなす」ことに集中して、気が付いたら、一番大切にしたい目的からズレてしまう。そんなことも多いと思います。
 
そんな時、ちょっとだけ立ち止まって考えてみるんです。
 
あれ? 本来の目的は、「子どもと楽しい時間を過ごすこと」じゃなかったっけ?

「夫に楽しく家事をしてもらうこと(あわよくばやる気にさせてもっとしてもらうこと)」じゃなかったっけ?
 
食卓
 
例え床をピカピカに掃除できても、夫にカンペキな料理を求めても、一番の目的は達成できません。それなら、多少、掃除や家事が行き届いていなくても、「子どもや家族と笑ってあたたかい時間を過ごせたなあ〜」と思えるほうが、心が満たされるんじゃないかなと思います。
 
一緒に過ごす家族の時間、一番大切にしたい目的は何なのか? 中心を見失わないでいることは、自分のためにも家族のためにも大事なことです
 
ちなみにわが家では、一年に一度、夫婦で「仕事と家庭のありたい姿・過ごしたい時間・したいこと」を話し合って確認するようにしています。ふだんから無言の圧力をかけてどうにかしようとするんじゃなく、もっと根本的に「どうしたら、お互いが気持ち良くいられるのか?」「どんな時間を共にしていきたいか?」「どんな協力ができるのか?」を話し合えると、日々すべてのことがカンペキにはいかなくても、太い信頼の線でつながれて、どうにかなりますよ。
 
みんながんばっている
 
家のことと仕事。どちらも両立しなくちゃ……と気負っているなら、
  1. 減点方式から加点方式へ。
  2. 夫に家事を気持ち良く任せる。
  3. しめるところ、ゆるめるところを考える。
  4. カンペキにこなすことより、一番大事にしたい家族の目的を忘れない。
この4つに気をつけてみると、心もからだも、ふっとラクになれるかもしれません。

“こなす”が“満たされる”に、少しでも変化していきますように。

 
今日の家族問答

家族の時間、一番大切にしたいものは、何ですか?



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★★★
 
★きっかけはすっぴん〜シンプルになるきっかけ〜
 
ヒビノケイコ

ヒビノケイコ

4コマ漫画エッセイスト。9年前京都から高知の山奥、嶺北エリアに移住。自然派菓子工房ぽっちり堂オーナーをしつつ、作家・講演活動をしています。新しい時代に必要な視点と、多様なライフスタイルを地域から発信中。移住、ローカル、女性の軸、仏教、子育て、アートがテーマ。 ブログ「ヒビノケイコの日々」http://hibinokeiko.blog.jp

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