大人すはだ大人がすはだで暮らす時間

TOP » コラム » 【連載】影はあるけど中身がない"ミステリアス男子"に惹かれる「引き出したい系女子」たちよ、目を覚ませ|○○系からの成仏(3)

コラムコラム

【連載】影はあるけど中身がない"ミステリアス男子"に惹かれる「引き出したい系女子」たちよ、目を覚ませ|○○系からの成仏(3)

2016.08.26

○○系からの成仏, 女性, 引き出したい系女子, 生き方

誰にも言えない過去、コンプレックス、葛藤を抱えていそうなミステリアスな人を見ると、彼らのことを理解してあげたくなる――。そんなあなたは、知的好奇心旺盛で人と向き合うチカラのある“引き出したい系”かもしれません。しっかり者の彼女たちがハマってしまうのは、ミステリアスなのは雰囲気だけの、寂しがり屋な引き出し空っぽ男子の可能性が。4コマ漫画エッセイストのヒビノケイコさんがひも解く、彼らに振り回されずキッパリ見切りをつける方法とは?

引き出しを開けたら空っぽだったミステリアス男子

「結局、彼の引き出しは空っぽだったの。」
 
まきちゃんが言う。
 
「この人の中に、きっとたくさんのすてきなものがつまっているんだろうな。そう思って、不可解なことがあっても、目をつむって付き合ってきた。だけど『中身があるかな?きっとあるよね?』と思い続けていたけど、結局なーんにもなかったの。その時の驚きってわかる? 気分しか入ってなかったんだよ」
 
「あはは!わかる!引き出し開けるまで、気を惹きつけてドキドキさせる、ミステリアスな男の人っているよね」。わたしが言う。
 
「そうなの。7割は言葉にして3割は言わないで濁すから、いつもハテナが増えていく。気になって続きが知りたくなって、追いかけちゃう。でも、彼の中身は空っぽだったんだよね」
 
まきちゃんいわく、引き出し空っぽ系男子の特徴はコレだそう。

引き出したい系女子
  • 色気があってミステリアス
  • たいして重要ではない秘密を「君にだけ教える」感を醸して共有してくる
  • 相手の気をひく技術と、甘える技術に長けている
  • 言うことが昨日と今日で全く違い、一本の筋がない
  • 気分のムラとアップダウンが激しく、会うたびに顔色が違う
  • 名言をたまに言うが、実は有名人のパクリ
  • 犬より、猫が好き
  • 連絡はマメだが、他の人(女)にもマメ
  • 甘くてドキドキさせることばを常にかけてくる。女扱いがうまい
  • いつもどこか女の影を感じさせる。例えば「旅行に行ってくる」と出かけたけど、どうやら、ひとりじゃない雰囲気が醸し出され、尋ねると「俺を信じられないなんてお前が悪い」と言われる。
  • 何年も半同棲で付き合ってるのに、ある日突然「おまえもそろそろ婚活しないとな」と言ってくるなど、無責任。
  • そのくせ、セックスのときばかり避妊はせず結婚を考えているような雰囲気を醸し出してくる。
  • 自分は自由な交友関係を持っているのに彼女が人と会ったり楽しい時間を過ごすと不機嫌になる
  • 一緒にいる瞬間は楽しいが、ここぞという話し合いで重要な点がかみ合わない
  • 自分を大きく見せようとするが、どこか寂しそうで母性をくすぐられる
  • 「わたしだけがこの人を分かっている」と思っている人が、実は彼の周りに複数いる

知的好奇心たっぷり「引き出したい系女子」のはまるワナ

彼が「引き出し空っぽ系」だとすれば、まきちゃんは、いわば「引き出したい系」の女の子。
 
知りたい引き出したい系
 
彼女は知的好奇心が旺盛で、仕事や社会のことなど、とにかく学ぶのが好き。旅に出たり、講座を受けたりしつつ、キャリアアップを図っていた。だけどこの数年、知的好奇心の使いどころを間違って、引き出し空っぽ系のミステリアス男子にはまってしまっていたのだ。
 
「理解できないから、興味が出る」
「違う考えだから、知りたくなる」
 
その気持ちは、わかるよ。うん。
 
まきちゃんは、どんな人の話も、興味を持って聞けるタイプ。会話の引き出し能力がある。だから、仕事の取引先やスタッフの間で人気者。
 
彼との関係でも、いつも彼のひとこと、ふたことの奥に、「この言葉の奥に、実は筋のとおったメッセージ性があるんじゃないか?」「バックボーンがあるんじゃないか?」と思い、興味深く質問していた。
 
けれどそのたびに、彼は、途中で話を濁した。
 
「そうだねえ……じゃあ、まきがまずしっかり考えてみたら?それがわかったとき、オレがもっと役に立つことアドバイスしてあげるよ」などなど。
 
いつも、その先を知ってそうな意味深な発言だったがために、まきちゃんは気になって気になって仕方がなくなった。「彼は、わたしが知らないことをいっぱい知ってるんだ」と信じていた。
 
だけど……何年も付き合ってみて、奥にはなんにもないことがわかってきた。あったのは、「はぐらかす、都合が悪くなったら逆ギレ、もしくは拗ねる」の3つだけ。
 
そう、彼にはポリシーや一本通った筋はなく、「その場をしのぎ、やり過ごす」ことと、「人の気を惹き付ける」テクニック、そして「気分」しか持っていなかったのだ。
 
空っぽ男子
 
まきちゃんは、相手をわかろうとしていた。理解したかった。だけど、いつも彼との関係は憶測と疑問まみれだった。
 
「まさか、そんなことしないよね?」→そんなことあった。他にも女がいたことが発覚。
「嘘なんて、つくはずないよね?」→ついてた。あれもこれも、嘘だった。
「きっと、彼はもっと深く考えてるはずだ」→実際は深く考えてなかった。
「でも、なんだか不安・・・」→不安で当たり前な状況だった。
「いつか、わかるはず」→わかろうともしていなかった。
 
恋愛関係において、ふたりで登ってるはずの山を、一人だけで登るのは不安だし、疲れる。そして虚しい。筋がなく、根っこの価値観が合わない人と自分を無理やり合わせようとするは、ただの苦行だ。
 
引き出したい系のまきちゃんが、いくら「何かあるかも」と彼の引き出しを開けたところで、中身はどれもこれも空っぽ。その場しのぎのパフォーマンスは過剰にうまいけど、中身を培ったり、責任を果たすための努力はしない。
 
ミステリアス系男子の罠
 
恋愛関係の前提になる「信頼」という基盤は、グラグラと揺らいだままで、どこまでいってもその上に、深い愛情を積み上げていくことができなかったのだ。

憶測と不安で、いつの間にかその人のことで頭がいっぱいに

「まきちゃん、いつも不安やって言ってたよね。恋愛って楽しいものなのに、なんでこんなに不安なんやろうって」と、わたしは言った。
 
「うん、そうなの。わたしが彼を信頼できないから不安なんだろうか……って自己嫌悪にも陥った。わたしが彼に依存してた部分もあったとは思うんだけど、もうひとつ。ああ、これは、彼がこっちのことを見てない不安だったんだなあって、気がついたんだ」とまきちゃんは言った。
 
「愛情って、相手のことを思いやる気持ちやもんね。表面的には優しくても、大事な話になったらはぐらかしたり、自分のことしか見てない人とは、付き合えないよ。いくら好きでもね」
 
ミステリアス
 
そんな話をしながら、わたしは「人って、謎に引き込まれる性質があるんやろうなあ」と思った。ミステリー番組やサスペンス系の漫画が、オチが毎回予測できるのにもかかわらず根強く人気があるのと同じで。
 
謎を提示されてしまうと、知的好奇心が大きい人ほど、その答えを探さずにはいられない。
 
だけど……答え自体がないってこともあるんだよね。
 
その事実を知らせてくれたのが、まきちゃんにとって、彼との関係だったのだろう。

自分が良い状態になるのが良い恋愛。悪い状態になるのは悪い恋愛。

まきちゃんは、彼と付き合っている間に、どんどん元気をなくしていった。思考の使いどころを、彼に持っていかれているように見えた。
 
常に彼のことばかり考えては、疲れてる。
 
彼は、彼女がしっかり気を注いでくれてるときは元気で自由に飛び回るけれど、その注意が離れたら、また引きつけにくる。まきちゃんは、どんどんアンバランスになり、仕事や生活に気をおけなくなって、不安定になっていった。
 
じゃあ、彼だけが悪いのか?というと、そうでもない。「引き出したい系」のまきちゃんにも、それなりの原因があるように、わたしは感じた。
 
ひとりで安心できないとき、自信がないとき、ちょっと退屈なとき。
 
自分の引き出しが空っぽな気がして、とりあえず「面白そう!」って思ったものを、中にいれたくなる。そのなかのひとつが彼。
 
「面白そう」で突っ走りがちなまきちゃんみたいな人は、一度立ち止まって「これはわたしにとって本当に必要なものかな?」と精査することが必要なのだ。
 
わたしは、何度もなんども、彼女から「彼がこんなこと言うんだけど、ホントだと思う?」って相談を受けた。
 
100回くらい同じことを聞かされた時、とうとうわたしはブチ切れて、ツッコミを入れた。
 
「もうキモイで! 中二じゃないんやし。これ以上同じこと繰り返すんやったら、わたしはもう話聞けない」と。
 
「確かに彼は引き出し空っぽやと思うけど、そういう人にずーっとつかまってるまきちゃんもまきちゃんやで。自分の引き出しを、彼にどこかで埋めてもらおうって思ってない? それ、ほんまに甘いよ。まきちゃんの好奇心はすっごくいいものなんやから、ブラックボックスみたいな人に構ってないで、自分の血肉になることに使いや。そしたら、もっと自分がしっくりくる引き出しができるんやから」
 
まきちゃんは、びっくりしながらも、「うん……ごめん。ほんと、そうかもしれない。もう一回ちゃんと考えてみる」と言った。

「引き出したい系」の正しい愛情と好奇心の使いどころ

まきちゃんは、彼と別れてから、どんどん外へ出かけるようになった。知らないことを学びに行き、知らない土地へ旅をし、知らない業界の人たちとの出会いをより一層楽しむようになった。仕事に関しても以前より粘り強くなった気がする。
 
「あのときね、ツッコミ入れてくれてほんとに良かったよ(笑)。わたしの感覚、麻痺してたと思う。彼と別れたあと、世の中には誠実に向き合ってくれる人もいるんだってことがわかった。責任を持つ関係性がどんなものか、じっくり考えるようになった。自分が興味を持ったことにぐっと入り込んで、3倍は打ち込めるようになったよ」
 
好奇心は、対象さえ選べば、自分を深めてくれるもの。
学びや仕事に使えば、極めることやこれからのキャリアにつながるもの。
 
「彼は彼で、きっとわたしのことも好きだったんだと思うけど、最終的に彼が好きなのは”自分”だったんだよね。”彼はもっといろんなことをわかってるはず”と思っていたけど、そう思うこと自体が、わたしの傲慢だった
 
そうなの。
 
「わかりあえないことを理解する」こと自体が、最大の愛という場合もある。
 
「まさかこんなことはないよね」「わかるはず」と自分の前提を押し付けるのも、傲慢だ。
 
いくら玄米が栄養価高くて体にいいからって、おなかが弱い人に無理やり食べさせても、お腹を下すのと一緒なのだ。

「答えがある」と思うけれど、「答えがない」ものもある。

引き出しにキラキラしたものを入れる
 
答えなんて、あってもなくても、どっちでもいい。
自分が疲弊する関係なら、置いておこう。
答えを探すなら、自分のためになることで探そう。
 
自分の引き出しは、自分で満たす。
 
引き出しの奥の「自信」は男の人ではなくて、今やれることにエネルギーを割くことでしか、培えない。
 
でも、それができたとき、自分の引き出しの中は、宝物でいっぱいになる。宝物でいっぱいの引き出しを持てた時、あなたの魅力はとても大きくなる。そうすれば確かに積み上げていける恋愛も、仕事も、もっともっと楽しくできるようになるよ。

「引き出したい系」のための処方箋

処方箋
  • 答えがないものを、追いかけない
  • 知的好奇心は、ミステリアスな引き出し空っぽ系の男性ではなく、学びと仕事に使おう
  • 自分の引き出しは、かりそめのおもちゃではなく、自分で埋めていこう
  • 引きつけ合うことが恋愛ではなくて、自分の状態を良くしてくれるのが良い恋愛
  • たしかに積み上げていける愛情は、相手を選んで。ぐらぐらしない土台の上にたてよう
★★★
 
★薬膳と暮らす台湾の日常
★きっかけはすっぴん〜シンプルになるきっかけ〜
★すはだで暮らすひと
ヒビノケイコ

ヒビノケイコ

4コマ漫画エッセイスト。9年前京都から高知の山奥、嶺北エリアに移住。自然派菓子工房ぽっちり堂オーナーをしつつ、作家・講演活動をしています。新しい時代に必要な視点と、多様なライフスタイルを地域から発信中。移住、ローカル、女性の軸、仏教、子育て、アートがテーマ。 ブログ「ヒビノケイコの日々」http://hibinokeiko.blog.jp

ヒビノケイコの記事一覧

  • 【連載】目をそらしていた自分と向き合う第一歩|○○系からの成仏(最終回)

    コラム

    【連載】目をそらしていた自分と向き合う第一歩|○○系からの成仏(最終回)

    2017.02. 1

  • 【連載】愛されていないと不安な「一人がこわい系」のカン違い|○○系からの成仏(5)

    コラム

    【連載】愛されていないと不安な「一人がこわい系」のカン違い|○○系からの成仏(5)

    2017.01.14

  • 【連載】いつまでも夢見る「結婚さえすれば系」じゃいられない|○○系からの成仏(4)

    コラム

    【連載】いつまでも夢見る「結婚さえすれば系」じゃいられない|○○系からの成仏(4)

    2016.10.28

  • 【連載】影はあるけど中身がない

    コラム

    【連載】影はあるけど中身がない"ミステリアス男子"に惹かれる「引き出したい系女子」たちよ、目を覚ませ|○○系からの成仏(3)

    2016.08.26

  • 【連載】「和風そうざい系」のみなさん、大切なものは目に見えないけど目に見えるものも大切にね。|○○系からの成仏(2)

    もの

    【連載】「和風そうざい系」のみなさん、大切なものは目に見えないけど目に見えるものも大切にね。|○○系からの成仏(2)

    2016.07. 3

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

おすすめ記事

  • 【連載】目をそらしていた自分と向き合う第一歩|○○系からの成仏(最終回)

    コラム

    【連載】目をそらしていた自分と向き合う第一歩|○○系からの成仏(最終回)

    2017.02. 1

  • 【連載】

    ピックアップ記事

    【連載】"わたし"の時間、"母"の時間|母さんと呼ばないで(3)

    2017.01.30

  • 【連載】

    コラム

    【連載】"すこやかに生きる"ための真理とは|すこやかに生きるということ⑯

    2017.01.21

  • 【連載】愛されていないと不安な「一人がこわい系」のカン違い|○○系からの成仏(5)

    コラム

    【連載】愛されていないと不安な「一人がこわい系」のカン違い|○○系からの成仏(5)

    2017.01.14

編集部ピックアップ

  • 【連載】目をそらしていた自分と向き合う第一歩|○○系からの成仏(最終回)

    コラム

    【連載】目をそらしていた自分と向き合う第一歩|○○系からの成仏(最終回)

  • 【連載】

    ピックアップ記事

    【連載】"わたし"の時間、"母"の時間|母さんと呼ばないで(3)

  • 【連載】まちのみそ屋の女将さんへの道|発酵とすはだのおいしい関係(20)

    ピックアップ記事

    【連載】まちのみそ屋の女将さんへの道|発酵とすはだのおいしい関係(20)

「大人すはだ」限定のコラム連載中

  • からだを慈しむ、薬草の旅
  • 四季のたしなみ、暮らしの知恵
  • 発酵兄妹・妹の 発酵とすはだのおいしい関係
  • すこやかに生きること
  • おかわりおやつ
  • 酸いも甘いも家族の内
  • 中島デコのうみ•そら•みどりを召し上がれ!
  • 小手鞠るいのNYの森からきれいに私生活
  • あきゅらいず美養品
pagetop