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【連載】出産後、自分を放置し過ぎて枯れてしまったあなたへ|酸いも甘いも家族の内⑥
2016.03.28
4コマ漫画エッセイストのヒビノケイコさんが、ブログでは言えない、家族にまつわるここだけの話をお届け。25歳で出産をしたケイコさん。出産後は子育てに追われ、一気におしゃれとは無縁のモッサリ女子に。でもいくつになっても結婚しても母親になっても、きれいでいたい。モッサリに片足突っ込んだ、すべての子育て女性に送ります。
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わたしね、心のどこかで「お母さんになったら、お母さんらしくならないといけない」って思ってたんです。「田舎暮らししたら、田舎暮らしの人っぽくならないといけない」とも。
でも、それは間違いでした。ふふふ。
ほんとは、一般的なお母さん像、田舎暮らし像にならなくてよかったんですよね〜。正しさに染まって楽しさを見失うと、世界は白黒になり、花は枯れてゆきます。
「田舎暮らしをしてるからって、ユニフォームみたいにナチュラル&オーガニックな白いリネンの服を着なくてもいいんだ……!」「お母さんになっても、アロマの香りを漂わせ、ツヤのあるカラフルな服を着て、メイクだってきれいにしてもいいんだ……!」。
これに気がついた時、わたし、めちゃくちゃ楽になったんですよ(笑)。

もっと自由に“自分のなりたいお母さん”になっていい。もっと自由に、自分のなりたい“田舎暮らしの人”になっていい。ありたい自分で、あればいい。
今日は、そんな枯れない女でいるためのエピソードをご紹介しようと思います。
女ざかりの25歳。わたしは完全に枯れきってました
自慢じゃないですけど、わたし、ほんっっっっとに、枯れた時期があったんですよー(笑)。あ、ちょっと自慢してるかも?
それは、産後のこと。それまでは芸大に通っていたこともあり、おしゃれはする方でした。でも、子どもを25歳で産んでから、家にこもって、おっぱい→抱っこ→おしめの連続。自分に構う余裕もなくなり、なんかもう、ぜんぶが、どーでも良くなってしまったんですよね。
シンデレラの逆バージョンのように、コンタクトからメガネに。服は子どものよだれがついても大丈夫なように、おしゃれなものから地味なものに。息子といつでもダッシュできるよう、スカートは履かなくなり、睡眠不足でむくんでパンパンの顔は、ノーメイク。これでもか!ってくらいモサかったです。
思えば「母になったからには、どっしりしなきゃ」みたいなイメージがあったのかも。子育ては頑張りつつも、25歳の女性として魅力的か?と聞かれたら、完全にビミョーでした。
変化のきっかけは、海外のお母さんたちの品のよいセクシーさ
モッサリ女子になって2〜3年経ったある日、海外へ出かける機会がありました。そしたら、現地の女性たちは、子育てしていてもスタイルがよく、メイクも服もおしゃれ! 品のよいセクシーさもある……!と、釘付けになりました。
現地の方に「なんでケイコはキレイにしないの?もっとキレイになれるのに。もったいないよ〜」と言われ、「あ、そうだ。別に母親になっても、女性として美しくていいんだ!」と気がついたんです。
日本では「子育てしてるんだから」「母親なんだから」と、変に美しさを自粛する面、ないですか?
でも、お母さんだって、きれいにしていいんです(キッパリ)。
このサイトの読者さんは、なにも子どもをほっぽり出してまで自分のおしゃれに専念するようなタイプではないでしょう。日々、一生懸命子どもに向き合っている、すてきな女性だと思います。
そんな人だからこそ、自分を許してあげて、美しくなってほしい。
よく、「ボロを着てても心は錦」って言うじゃないですか。もちろん心や中身は大切なもの。だけど、一瞬で相手の脳に印象付けられる見た目も、同じくらい大事です。どんなにすてきなことを言っていても、見た目のせいで誤解されると、もったいないですからね。
内面がすてきな方がおしゃれをするからこそ、自分も、周りにいる人も、子どもも喜ばせることができるんです。
大人性と子ども性を統合する時期。カラフルな世界へ

母親になっても、年を重ねても、すてきだなあと感じる女性の共通点。それは、色・ツヤ・香りの3つがあるということです。
大好きな友人のひとりに、ミュージシャン・詩人のtotoさんという方がいます。彼女は3人の子どものお母さん。子育てしながら、仕事も音楽も、がんばってるんですよ。
彼女は一つひとつのことに心を注ぐタイプなので、毎日相当忙しいと思うんです。だけど、いつ会っても、どこかふわっとしていて忙しさを感じさせません。日常やステージで身にまとっている服は素材が個性的でカラフル、アクセサリーはアーティスティックな形状で、きらめいてます。
自分の奥にある美しさを現した格好で彼女が詩を歌う時、その言葉はズドーン!と胸に響いてきます。キラキラした金色の粉が舞うように、言葉が舞います。そんな姿は、「伝えるべき内容を持っている人は、外見も美しいとますます伝わりやすくなる」ことを教えてくれるんです。
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以前、totoさんが「美大の空間デザイン学科卒業」であることをお聞きした時、「やっぱりなあ」と思いました。音楽のステージでも、日常でも、全体の世界観を作り、その中で自分を彩っていくのがうまい。
彼女のすてきなところは、ファッション雑誌に出てるモデルみたいな美しさではなくて、“toto”という、一人の人としての美しさを持っているところ。
「母であっても、働いていても、自分が一人の人であることを忘れない」。
これ、とても大事なことだと思うんです。
totoさんのようにステージに登るママじゃなくても、日常において、一人の人であることを忘れずに、自分を引き出すおしゃれができた時、周りの人にも良い影響が出ます。
「ああ、自分もこんな風に、母になっても自分である部分を持っていていいんだ」「もっと楽しんで生きていいんだ」と、癒されたり、楽になったり。華やかな気分になったり。
生真面目すぎて、笑わなくなったお母さんが、ちょっとでもおしゃれして華やかに笑う。そうすれば、子どもだって嬉しい。そんな小さな変化を起こすもとになります。
ステージじゃなく日常であっても、自分と相手のことを思いやった結果、美しく枯れない女性でいるのは大事だなって思います。

一方で、子育て中は母親というフェーズに入り、社会の中で、大人としての役割を高める時期。母親として子どもを育てたり、見守ったり、危機管理をしたり。いのちを預かる立場として、その役割をしっかり全うすることはとても重要です。子育てを通して成熟できる側面もあります。
ただ、その役割に自分のすべてを染めてしまった時、「ただのプレーンな自分」とか「のびのびイキイキしたところ」が死んじゃうこともある。女として枯れた状態っていうのは、自分の中のイキイキした“子ども性”をなくした状態です。
子ども性だけで生きると、勝手で幼稚なヤツになっちゃいますが、良い部分を伸ばせばイキイキして楽しい魅力的な人になります。大人性だけで生きると、おもしろくもない正しさと役割だけの人になるけれど、良い要素を伸ばせると、深く物事をとらえ責任を持って行動する、成熟した人になります。
世の中では「大人性、子ども性どっちをとるか?」と捉えられがちなんですけど、実は、この2つを統合できるのが、子育ての時期だと思っています。のびのびイキイキしてる自分の中の子ども性と、母親という役割で育てられる成熟した大人性。2つの良い面を、併せ持っていくことで、自分勝手ではなく、自由で成熟した魅力的な女性になる。
子育ての時期は、そんな女性になれるチャンスなんです。
だから、心のあり方も、外見のあり方も、どっちかじゃなくて、どっちも大切にすればいいんですよ。
枯れから脱却するためには?
心も外見もカラッカラになっている時に、自分で服を選ぶのは禁物。ことごとく地味になって、モッサリから脱却できなくなります。なので、そういう時は周りの人に手伝ってもらいましょう。例えば、センスのいいショップの店員さん、憧れの女性、スタイリストさんなんかにね。
わたしは、totoさんや憧れの女性たちに「これ、わたしはサイズが合わなくなったんだけど、ケイコちゃんに似合いそうだから」と服を頂くことがよくあるんですよ。キラキラした刺繍がついていたり、色もピンクや紫だったり、カラフル。最初は気恥ずかしかったんですけど、着てみたら「パッ!」と見た目も心も華やかになるものばかり。
自分では「え!これ?いいの!?」と思うような服をあえて取り入れてみることで、新たな自分へと、思い切って変身できるきっかけになります。
アガるかどうかがポイント
枯れない女性の指標としては、毎日、自分の姿を鏡で見たと時「アガる」感覚があるかどうか。外出予定のない日も、子どもと過ごすだけの日も、ちょっとでもおしゃれをして、気分のいい服を着るだけで気持ちが上がり、子どもや家族にも優しくできますよ。
褒めてもらうことは促進剤
あとね、旦那さんや彼氏、周りの人に、毎日一言でもほめてもらえるとやる気が出ますよー(男性が読んでたら、ぜひパートナーに一言かけてあげてくださいね)。サプリを飲むよりも、ずっと効果的です。「きれいだねー」「かわいいね」と言われるうちに、女性たちはそう思い込み(思い込みでいいんです)ますます美しくなる、というのはよくあること。相手がいなければ、自分で鏡に向かって言ってみましょう(笑)。
価値のない自分から、愛せる自分へ
くすんだ自分でいることが、なんでダメなのかって? それは、「どうせ私なんて」と、「価値のない自分」を感じてしまうからです。
「枯れてない自分を作る」ことは「自分を愛で、大切にする」ことにつながります。子どもがいてもいなくても、自分を愛でてあげられる女性になるうちに、その人ならではの存在感が漂ってきます。それは、カテゴライズされない“一人の人としての自分”を大切にしてあげる、ということでもあります。
さてさて。今日から一つだけアクセサリーをつけてみる、ちょっとだけ明るい服を着てみる。そんなことからはじめてみるのは、いかがでしょうか?
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★きっかけはすっぴん〜シンプルになるきっかけ〜
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ヒビノケイコ
4コマ漫画エッセイスト。9年前京都から高知の山奥、嶺北エリアに移住。自然派菓子工房ぽっちり堂オーナーをしつつ、作家・講演活動をしています。新しい時代に必要な視点と、多様なライフスタイルを地域から発信中。移住、ローカル、女性の軸、仏教、子育て、アートがテーマ。 ブログ「ヒビノケイコの日々」http://hibinokeiko.blog.jp
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