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【連載】みそ屋の目指す食卓|発酵とすはだのおいしい関係(7)
2015.11.27
みそ屋, 味噌, 味噌汁, 発酵, 発酵とすはだのおいしい関係
都内での会社勤めを辞め、地元の山梨に戻ってきてもうすぐ2年。ふと、自分の食卓の豊かさに幸せを感じることがあります。
私の考える幸せな食卓は、高級ステーキにフォアグラに……という、いわゆる贅沢で豪勢な食事ではなく、顔の見える食材に囲まれているもの。

友人でもある尊敬する醸造家が醸したワイン
山梨という土地柄もあって、どんな食材も生産者がとても近いように思います。
誰かのつくった野菜、あの人が醸したワイン、あのお姉さんが焼いたパン、そしてうちの発酵調味料がある、なんていう風景。食卓に並ぶほとんどが顔の見える食材であること、これこそが幸せな食卓であると私は思います。
生み出される過程や背景、その食材に込められた思いを知っていると、いつもよりじっくりと噛み締めることができ2倍も3倍もおいしく味わうことができるのです。
みそ屋の想い
私は一消費者であり、みそ屋という立場で生産者でもあります。
みそを口にするときに私のことを思い出してほしい。なんて、おこがましいことは決して思っていません。みそは調味料なので、他の食材のようにそのまま口にする機会はあまりなく、何か他の調味料や食材と組み合わさって料理となります。ただ、この組み合わせを楽しんでもらいたいと思っています。
店頭や通信販売で、商品がお客さんのもとへと旅立ちますが、実際にどのように調理されて、どんな風に食卓で楽しまれているのか、本当に食べてもらえているのかなど、お客さんの食卓事情が気になることも。

甲州みそを使用した吉田のうどん
お客さんである飲食店さんには、時間を見つけては食べに行くようにしています。麺を美味しそうにすすっているお客さんの表情を見ることができるのは、ありがたいことです。
お母さんのみそ汁
みそというと一番に思い描くのが、親しみのある“お母さんのみそ汁“だと思います。しかし、現在みその消費量は著しく減り、みそ汁を飲む家庭も減少傾向にあります。世のお母さんたちに向けて「みそ汁をお子さんにつくってあげてください」と強制することは言えません。
でももし、子どもが「お母さん!みそ汁つくって」とお願いしたら、どうでしょうか? 子どもにお願いされてつくらない母親はいないと思います。
でももし、子どもが「お母さん!みそ汁つくって」とお願いしたら、どうでしょうか? 子どもにお願いされてつくらない母親はいないと思います。
いま、私は子どもたちと一緒にみそを仕込むという食育活動に力を入れています。子どもが一生懸命つくって、発酵させたみそで、お母さんがみそ汁をつくる。子どもが大事に育ててきたみそですから、いつもとは違う思いを込めてみそ汁をつくってくれるはずです。
自分の口にするものに物語を吹き込むだけで、豊かになります。みそという決して主役にはならない調味料と、これからも幸せな食卓を生み出すお手伝いをしていきたいです。
★★★
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五味洋子
山梨県甲府市出身。東京農業大学醸造科学科にて発酵学を学ぶ。卒業後、2009年ライフスタイル提案会社に就職。社員食堂の立ち上げや、新規事業部で商品企画を担当。2013年、味噌屋への帰郷を決意。みそ屋の六代目を務める実兄と発酵兄妹として手前みそ文化や、発酵文化を伝えるため日々奮闘中。
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