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「笹のいえ」ができるまで その2~怒涛の改修からオープンまで編~

2016.03.12

コンポストトイレ, ドネーション, 中島子嶺麻, 廃材, 改修, 笹のいえ

はーい!母娘バトンも楽しいですね。しょっちゅう会えないからなおさら。
今年の手前柿酢も手前お醤油も、もちろんめちゃくちゃ美味しいです。
それはもう、自分で作ってるから!という贔屓目ががっつり入っていて。
しかも、柿酢は今回やっと作れたんですよ! 去年までは柿をもらえるあてがなくて、仕込めなかったんです。

ブラウンズフィールドにいたころは敷地内にたくさん柿の木があったから、柿に困るなんて考えてもいませんでした。
めちゃくちゃ田舎に住んでいるはずなのに、都会に住む人の気持ちがよくわかりました。柿も酢も商品。買うんですよね。
購入したお酢は貴重品でついついケチっていましたが、今ではドバドバ使っています。
美味しいお酢を気兼ねなく使える、食用だけじゃなくてリンスにも使えるって、
やっぱり贅沢な暮らしをさせてもらっているなー、と柿酢を使うたびにしみじみします。
これもやっぱりご近所の皆さんのおかげさまなのです。
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これが改修前のお風呂小屋

さてさて、今回は怒涛の改修編。
さすがに20年間家主のいなかった古い民家だったのですぐには住めず、
生活ができるようになるまでは近くのアパートから父ちゃんが通いで作業することになりました。

改修にあたって、「お金は無いけれど、時間はたっぷりある」私たちが考えていたのは、可能な限り、そこにあるもの、いただきもの、廃材を利用すること。
(もちろん、電動工具や一部木材など、どうしても必要なものは購入しましたよ)
ということで、地域で解体現場を見つけると、率先してというか、飛び込みでお手伝いに行っては床材やら廃材やらもらってくるように。
こんなに積極的な父ちゃんを見たのは初めてでした。
そのうち「使ってない建具があるんだけどいる?」なんてお声を掛けてもらえるようになりました。

「笹のいえ」(以下、笹)ではまず、ライフラインを確保しなければいけません。
はもともと沢水で生活していたため、水道がきていません。
でも、水を沢から引いてくるなんて、知識も経験もない私たちは、どこからどうしていいのか全くわからずお手上げ状態。
そんなある日、同じ集落に住むご年配二人組がひょっこり現れたそうです。
(遅々として進まない作業を見るに見かねて、助け舟を出しにいらしてくれたんだと思います)

現状をお話すると、数日後にパイプやら工具やらセメントやらと共にやってきて、
かつての取水場所まで獣道をスイスイと登っていく彼ら(たぶん80歳代)の後をついて行くのがやっとだったと聞き(父ちゃんは40歳代)、
その身のこなし方と知恵に夫婦で感動しました。
そして、今まで悩んでいたのが嘘みたいに、水が母屋のとなりの水槽までやってきて美味しい沢水が使い放題となったのです。
それからも、たくさんの方々のお手伝いやサポートを受けて少しずつ改修が進んでいきます。
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キッチンの土間の改修風景
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お風呂小屋の屋根の吹き替え
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柿渋を塗る子どもたち
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改修作業合間のお昼ご飯
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母屋山側の床も半分腐っていたので張り替えました。
五右衛門風呂を直して、体の汗を落とすことができる。
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コンポストトイレを作って、個室で用を足すことができる。
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台所が完成して、食事が作れるように。
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電気の配線をやり直して、人気のなかった家に明かりが灯るようになる。s_18-31 .jpg
土壁ができて、雨風が凌げる。
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すぐに住める家に引っ越してきていたら考えることすらなかった、
「家」の大切さが改修作業を通して身に染みていくようでした。s_14-18-1 .jpgs_15-21.jpg
こうして一年以上続いた作業の間、大家さんやその親類の方々が、同じ敷地内にあるお墓にお参りに来ることが何度かありました。
草が刈られ、煙突から煙が出て、子どもの笑い声が聞こえる。
来るたびに少しずつ息を吹き返す家を見て、とても喜んでくれました。

そう、1年以上経ってからやっとに暮らし始めたんです。
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改修後のお風呂小屋
暮らし始めたら、そろそろ現金を稼がなきゃいけませんね。もう、「家を直すのが先」という言い訳ができなくなりました。
もともと宿をやろうと思ってはいたんですが、大家さんやご近所さんはこんな不便な場所に(しかもその不便を体験しに)お客さんが来てくれるとは考えられなかったみたいで、「宿をしようと思っています」って言うと、皆さん驚いていました。

そして宿を始めるにあたって考えなきゃいけないのが宿代、1泊いったいいくらなのよ、ってところです。
料理はいくらで、サービスはいくらで、って考えてみてもしっくりきません。
だってお風呂や料理、トイレも私たちが提供するというより「体験」してもらいたいことだから。
だいたい、値段ってものはやっかいで、1泊2食付きで⚪︎⚪︎円と決めちゃうと、そこから少しでもはみ出した時(お昼ご飯も食べたいとか、朝ごはんはいりませんとか)、じゃあそれは値段に入っているとか入っていないとか、心の狭い私は小さなことをすぐ考えてしまいます。

それって、めちゃくちゃつまらないことだよなぁ、って思ったんです。
せっかくこんな遠いところまで来てくれて、一緒に楽しく過ごしてくれた人とは、心の付き合いがしたいものです。
損得勘定なんて出てきてほしくないし、出し惜しみせず、出来る限りのことをしたい。
そう思ったら、お互いのために値段って決めなくてもいいんじゃないのかな、って思えたんです。

タイムリーにこんな考え方にも出会いました。ソーヤー海くんの費用の理念

で、私たちの生活ってある意味プライスレスかも知れない、と、前向きにとらえてドネーション(お心づけ)の宿をオープンすることになったのが、去年の夏でした。
ちなみに、お客様がいらしたのは秋頃から。未だにサイトもチラシもできていないし、オープンのお知らせのハガキもいったいいつ出せるのか、もしかしたら出さないかも知れません。。。

でも私たちは、日々作って、食べて、出して、暮らしています。
毎日の営みはお客様が来ても来なくても変わらずそこにあって、それでいいんだって今は思っています。

こんな宿が世界に増えたら、楽しい世の中になりそうでしょ?お母さん。
お母さんだったらこんなお宿、1泊いったいいくら出しますかー?

中島子嶺麻

中島子嶺麻

1984年中島デコの長女として生まれる。「おなかの中からマクロビオティック」で育った純マクロっ子。2007年から千葉房総にあるブラウンズフィールドで、日々の調理や イベント、経理などを担当。結婚後、3児をプライベート出産する。2013年高知県に引っ越 し、古民家を修復しながら農的生活をはじめる。2015年むかし暮らしの宿「笹のいえ」として体験型のお宿をスタート。得意料理は、旬の野菜の皮から根っこまでを余さず使うMOTTAINAI料理。著書に「きれいになる「ゆるマクロビ」玄米と野菜のワンプレートごはん」「朝つめるだけ 玄米と野菜の「ゆるマクロビ」弁当」家の光協会、「小さな子のマクロビオティックおやつ」パルコ出版。

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