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うみ•そら•みどりを召し上がれ!

この世でいちばん自然な誕生の瞬間

2015.04.10

中島デコ, 自宅出産

『長女(子嶺麻シネマ)が3人目の出産のために帰って来ました』
と、言ってしまえば、一言ですが、彼女を産んで30年。
お腹にいた時からマクロビオティックで、長女としてたのもしく育ち、後の4人の兄弟姉妹を従えて躾係りを一手に引き受けてくれ、私の手伝いもし、一緒に千葉に越して来たかと思いきや、1年ですぐに東京に戻って暮らし始め、その頃から世の中の食べ物を好き放題満喫し、高校大学と自力で卒業。

普通の就職を経て、マクロビオティックに、そして、ブラウンズフィールドにも戻って来て、結婚して、子どもを2人生み、さらにブラウンズフィールドも卒業して、高知に移住。等々


すばらしくいろんな事があり・・・そして、3人目の里帰り出産。振り返るとしみじみします。。。が、
4歳児、2歳児を連れて来ているのでそんな事は言ってられません。ばぁちゃん、怒濤の日々です。笑。

3月28日に出産予定日だったのですが、予定日を大幅に過ぎても、元気に台所仕事。
一緒に野草を摘んで料理したり、残りものや冷凍庫を一掃して料理して、もったいない母ちゃんぶりを発揮したりと、出産が遅れたおかげで、一緒に赤ちゃんを待ちながらの、穏やかで楽しい日々を過ごす事ができました。



私はシネマを産婦人科の分娩室をお借りして、お産婆さんに来てもらって自然出産しました。
2人目はラマーズ法の助産院。3人目は自宅にお産婆さんに来てもらい。4人目はバリ島のバンガローでプライベート出産。5人目は自宅のお風呂で、その時も一人で産みました。
(ここで書くと長くなるので、詳しくは、『生きてるだけでいいんじゃない』(近代映画社)を読んでくださいね)

シネマは、そんな妹や弟の出産を見て感じて育ちました。
『出産は病気じゃない、自分が産むわけでもなく、お医者さんやお産婆さんが取り上げるでもなく、時が満ちれば自然に出て来るものなんだ』
という私の思いを受けてか、1人目の出産の時から自宅でプライベート出産を選択。私が出張中だったので、パートナーの洋介さんと2人だけの出産。2人目は洋介さんが上の子と遊んでいる間に私がとりあげました。

さて、3人目。予定日を1週間過ぎた日。
ちょうど、満月で皆既月食の4月4日土曜日の朝早く、「そろそろ陣痛らしきものが来てるみたいです」と洋介さんに起こされて、行ってみると、だいたい16〜18分間隔の軽い痛み。おしゃべりしたり、子ども達と遊んだり、お昼寝したりと、のんびり過ごしました。
夕方からは、助産師をめざしている今大学1年生の4番目の娘、安海ちゃんとお友達のひじりちゃんが参戦。子ども達と遊んでくれて、さらに賑やかです。

その頃には間隔が6〜8分くらいになっていました。とりあえず、痛そうだけれど、傷みは代わってあげられないので、腰や足をみんなでさすります。痛みが去ると、とっても元気なので、冗談を言って笑い合う余裕がありました。お塩をたっぷり溶かし、干した大根の葉を煮出した汁を入れたお風呂を用意しておいたので、19時半頃お風呂に移動。暖まると腰の痛みが少し楽そうです。子供達も「私も入る!」と順番に出たり入ったり。
s_16-1.JPG
痛みが来るとこんな感じ
s_16-2.JPG
でも、1分くらいで痛みは去るので、「はぁ。痛いの去ったわぁ」と後は笑顔。上手に痛みをサーフィンしていました。
見守るパートナー洋介さんと、ちょっと心配そうな玄人君です。
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21時近くになっても、陣痛の間隔が5分以内にならず、たまに10分近く間がある時があるので
「1回お湯から出たほうがいいんじゃない。きっと、明け方かもよ」と私。
「あんまり長くお湯に浸かってるのもよくないってよ」とiPhone片手にグーグル検索しながら安海ちゃん。
「ないない。明け方までなんてがまんできない。もう降りたい〜痛い〜!」とシネマ。
「お姉ちゃん。ここまできたら戻れないよ。がんばれ〜」と安海。
「痛いの痛いの飛んでけ〜!」とみんなで合唱。笑。

すると、急に3分くらいの間隔になり、3回くらい大きなうねりが来て、赤ちゃんの頭が出てきました。頭をそっと両手で包んであげると、最後のいきみがきて、つるんと全身が出て来ました。
21時21分。外は曇りで見えなかったけれど、ちょうど、皆既月食の最中です。

おめでとう!!小さな命!この世界にようこそ!の瞬間です。
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ほの波も「りぼんちゃん、出て来たね〜」と、目を丸くして見ています。
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胎児名をほの波がつけて『りぼんちゃん』と、ずっと呼んでいたのですが、かわいいおチンチンがついていて、男の子でした。

お布団に移動して(へその緒が繋がったままの移動がちょっと大変だったけど)
着替えて落ち着いて、子供達が赤ちゃんを触ったり、のぞきこんだり。。
s_children.JPG

兄弟が産まれる時。
お母さんが突然どこかに行ってしまって、寂しい思いをし、1週間後に赤ちゃんを連れて帰ってきて「これが弟よ」と、説明されるのと、随分違う感覚でしょうね。
赤ちゃんにとっても、病院の消毒臭くて照明が明る過ぎる手術室にいきなり出されるより、家族の応援の声を聞きながらほの暗い場所で静かに生まれるほうがきっと安心で心地良いに違いないと思うのです。

そう言えば、今回の子も生まれた時に一声だけ「ふにゃ〜」と泣いただけで、その後、少しも泣かなかったな。そして、もちろん、お母さんにとっても、分娩台に縛りつけられ、会陰切開され、時には陣痛促進剤を打たれて生むよりも、ずっと幸せな出産じゃないかなと、私は思うのです。
もちろん、医療を否定するつもりはありません。医学の力でたくさんの人が助かっています。すばらしいと思うし、おまかせした方が安心な人は病院で産む選択は、とても良いと思います。でも、助産院での出産や自宅出産という選択もあるんだって事を、知っていて欲しいな。という気持ちがあるのです。

なにより、大事なのは健康である事。
健康で前向きでなければ、選択肢は限られますよね。
そして、健康であるためには、日々の食事や生活を大切にするのが、一番大事だと思うのです。

さて、胎盤が出ないまま朝になってしまい、ちょっとあわてたのですが、
無事出てきたので、やっとへその緒を切りました。胎盤から赤ちゃんへ全部の血液と栄養が行ってから、ゆっくり切るのが良いみたいです。
そして、なるべく自然素材が良いという事で、竹で作ってもらったペーパーナイフでほの波がカット。
s_heso2.JPG
これで、やっと赤ちゃんは一人前、出産完了。
ほの波抱っこして記念写真。
s_baby&honoha-1.JPG


s_16-00.JPG
本当におめでとう。
この世界に来てくれてありがとう。
洋介さんとシネマを選んで来てくれてありがとう。
ばぁばは、影に日向にあなたを見守らせていただきます。
これからも、ずっとずーっとよろしくね。
 
 
中島デコ

中島デコ

1958年東京都生まれ。料理研究家。16歳でマクロビオティックに出会い、25歳から本格的に学び始める。86年東京下北沢でマクロビオティックの料理教室「ワンダーマミー」を主宰。二度の結婚で2男3女の母となり、99年フォトジャーナリストの夫エバレット・ブラウンとともに千葉県いすみ市に移住。田畑つき古民家スペース「ブラウンズフィールド」を立ち上げる。田園を望む「ライステラスカフェ」や「慈慈の邸」のほか、料理教室やデトックスプログラムなどのイベントも開催。『中島デコのマクロビオティック 玄米・根菜・豆料理』、『小さな子のマクロビオティックおやつ』(娘の渡貫子嶺麻との共著。共にパルコ出版)など著書多数。

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