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【中島デコ×小倉ヒラク対談 #2】シンプルで自分らしい暮らしのヒントは、手前味噌造りにあり!

2016.11.21

あきゅらいず, 中島デコ, 味噌汁, 味噌造り, 小倉ヒラク, 発酵

「大人すはだ」で連載中の料理研究家・中島デコさんと発酵デザイナー・小倉ヒラクさんの対談が実現。第2回目は、デコさんとヒラクさんの出会いのエピソードから、いま手前味噌造りが、シンプルで自分らしい暮らしを築く入口に、ピッタリだというお話。

対談者プロフィール

中島デコさん:料理研究家。16歳でマクロビオティックに出会い、25歳から本格的に学び始める。1999年に千葉県いすみ市に移住し、田畑つき古民家スペース「ブラウンズフィールド」を立ち上げる。「大人すはだ」では「うみ・そら・みどりを召し上がれ」を連載中。
 
小倉ヒラクさん:発酵デザイナー。プロダクトデザインやイベント企画なども行う。絵本&DVD「おうちでかんたん こうじづくり」作。「大人すはだ」連載中の五味洋子さんと洋子さんのお兄さんと3人で「発酵兄妹」として山梨のローカルラジオに出演中。

最初は「変な所だなぁ」と思いました(笑)

ヒラク そういえば、僕「ブラウンズフィールド」に久々に来たけれど、だいぶ(規模が)大きくなってますねぇ。
 
デコ 最初は、ただ家族で引っ越してきただけなのにね。
 
ヒラク あんな所に畑あったっけ!?みたいな。
 
デコ 宿泊施設ができて、住み込みで働くひとも増えたし、ブラウンズフィールドを卒業したあとも近所に住んで同じようなカフェを始める子もいたりして……まさかこんな大きくなるとは思っていなかった(笑)。
 
ヒラク 僕が初めてここに来たのが8年前くらいですね。その頃は母屋とカフェくらいしかなかったんだけれど、何年かに一回来るたびに、だんだん領土を広げてる。
 
デコさんとヒラクさん
 
デコ 最初、ヒラクくんが初めてここに来たのは、どういうきっかけだったっけ。
 
ヒラク 僕、「あきゅらいず」に勤めていた頃、下北沢で毎晩飲んでいたんですね。その行きつけのお店でバイトしていたのが、デコさんの娘さんのマチネちゃんだった。ある日マチネちゃんに「うちの実家、すごい変わってるんだよ。来なよ!」って誘われて行ってみたら、本当に変だった(笑)。それが8年くらい前ですね。
 
デコ ヒラクくんが「あきゅらいず」に勤めていたとは、その頃は知らなかった。私が「あきゅらいず」に出会ったのは、荻窪で開催していた料理教室に代表の南さん(南沢さん)が来てくれた時ですね。それから何度か、会社に遊びに行かせてもらったり、イベントに出させてもらったりしました。
 
デコさん
 
ヒラク 「あきゅらいず」から独立したのと、マチネちゃんにブラウンズフィールドに連れて行ってもらった時期は、僕のキャリアの転機にもなっていて。「あきゅらいず」時代は、自然とどう向き合うのかとか、仕事を通して社会にどう貢献するかということを教わりました。
 
同時に、ブラウンズフィールドは、人が自然の一部として暮らすということを、自立したコミュニティとして形にしているのにビックリしましたね。昔のヒッピーみたいに閉鎖的じゃない風通しの良いスタイルが、すごく自然に成立していて。
 
デコ ヒラクくんが初めてブラウンズフィールドに来た頃は、本当に一部の人しか、ここの事を知らなかったんだけれど、今はふつうのご家族とか、キラキラした若い女の子とかも来ますね。本当に、時代は変わったなって思います。ずっと、そういうふうになるのを望んでいたので嬉しい。
 
ヒラク 僕がやっているこうじ作りワークショップとか手前味噌造りの参加者も、若い子とか、女性が多いです。

手作りすると、暮らしの成り立ちが見えてくる

ヒラク 今の話と関連するんだけど……この間、山形の鶴岡に行って星野文紘さんっていう、山伏の棟梁みたいな愉快なおじいちゃんとお茶を飲んでいる時に「「山伏修行に女の人が多くてけしからん!」って話を聞いたんです。
 
デコ どうしてけしからん、なの?
 
ヒラク 星野さんいわく、「女性はもともと山伏になる必要がない」そうです。なぜなら、女の人は魂の中に自然を感じる力が強いから。自然と向き合う力が、女性にはもともと備わっている。でも弟子入りしたがる女性が最近増えていて、魂が弱まっているんじゃないか、けしからん、と。
 
ただ、ポジティブに言えば山伏に興味を持つ女性が増えているのは、自分の暮らしの足元をもう一度見直したいと感じる人が増えていることと関係しているんでしょうね。
 
ヒラクさん
 
ヒラク 今、僕たちはスーパーで売っている調味料を使って、何も意識せず和食をつくったり食べたりしていますけど、そのほとんどに発酵の技術が取り入れられています。でも、昔と違って自分たちで食べるものを手作りしなくなっちゃったから、微生物がどう働いて発酵食品ができるのか、知らない人が多い。
 
でも味噌造りワークショップで味噌を手作りすることで、自分の食べているものの成り立ちを知ることができるんです。どんなふうに自分の暮らしが支えられているのかとか、暮らしに必要なものは手作りできるんだということに気づくきっかけになる。
 
デコ 命の営みが分かるんですね。
 
ヒラク 発酵して、菌がポコポコしているのを見ると、みんな興奮するしね。
 
デコ 「生きてるー!」って実感するよね。そういう経験、本当に大事だよなぁ。
 
うちでも味噌造りとか梅干作りとか、ブラウンズフィールドでの暮らしを、まるごと体験してもらうのを売りにしていて。短い期間でも、一緒に味噌造りをしたりご飯を食べたりすると、ここに来た人たちがみんな仲良くなる。家族みたいになれるんだよね。
 
ヒラク うんうん、味噌造りはですね、コミュニティを作るのに本当に適しているなぁって思ってます。長いことやっていると、一回だけじゃなくて毎年(味噌造りに)参加する人が出てくるんですよ。彼らは、べつに味噌造りの技術を知りたいわけじゃなくて、味噌造りを口実に、みんなで集まる場所を求めているんだなって思います。
 
人とのつながりが希薄になったように感じたり、コミュニティを作りにくくなったりしたのは、その1年の季節のサイクルが分からなくなっちゃったからだと思っていて。でも味噌造りは、1年が巡ったことを体感しやすい、「ああ、またこの季節が来たな」っていうサイクルが分かるようになる。いわばお花見みたいなものなんですよね。
 
人間って、一人ぼっちだとすごく寂しくなるから、力を寄せ合って生きていく方がいい。力を集めるためには、力を集める理由が必要で、味噌造りは、その理由を担っているのだと思います。
 
デコさんとヒラクさんとヤギ
 
(つづく|第3回は11月23日に公開予定です)

★★★
 
★薬膳と暮らす台湾の日常
★きっかけはすっぴん〜シンプルになるきっかけ〜
★すはだで暮らすひと
 
「大人すはだ」編集部

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