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自由気ままな「あゆみ食堂」|日々の食事から見直す心とからだ、そして暮らし
2015.08. 5
日常の延長にある、シンプルで、けれどこだわりの旬食材を使った家庭料理が、話題を集めている出張料理屋さんの「あゆみ食堂」。
出張料理と称して、さまざまな場所で手料理をふるまう「あゆみ食堂」の大塩あゆ美さんですが、はじめから料理の道を志していたわけではなかったといいます。
食が変われば、からだ、そして暮らしが変わる
あゆ美さんの料理との出会いは、ひょんなことがきっかけでした。
「私は、子どもの頃からアトピーだったこともあり、学生の頃から気になるところは漢方で治してきました。けれど、どうしても指先などの細かい部分に、まだアトピーの痕が残っていました。」

「ある日、精進料理を食べに行ったとき、『からだや内臓は、”食”の力でできている』という話を、精進料理の先生から聞きました。その内容が、当たり前なことなのに、なぜかとても響いて、翌日からは今まで以上に食生活を改めようと実践を始めたんです。
長年悩んでいたアトピーも、先生からは『本当に治りたいなら生活を改善するしかない』と言われていたため、食べることときちんと向き合おうと思いました。すると、料理をすることがどんどん楽しくなっていったんです」

その後、あゆ美さんは家ではなるべく、肉や乳製品などの動物性のものではなく、野菜やくだものなど自然のものを食べるようになりました。すると、2週間くらいでからだが疲れにくくなり、気持ちも随分と安定していることに気がつきました。
「自分で選ぶ」大切さ
食べものによってからだの調子が変わっていくという真実を、はっきりと自分のからだで実感したあゆ美さん。楽しめることを仕事にしているおかげで、心もストレス無く過ごしているそうです。
「わたしが悩んでいた手のアトピーは、ちょうど食べ物を変えようと意識し始めて、8年ほど経った頃に治っていました。
昔、アトピーを治した方に、からだの細胞が生まれ変わる周期は7・8年だと聞いたことがあったんですが、それだけ長い時間をかけて、からだの中に溜まった悪いものを全部出し切ると、内側から外側までスッキリ変わることができるのかなと感じています」

「食べもののことをとことん考え始めると、自分の暮らしに関わるあらゆること、たとえば社会のしくみや目の前の食材以外のことまで、視野は自然と広がっていきます。たかが食べ物、されど食べ物、ですね。ひとは、食べものからしかできていないんだと思います。」
今は、どこで暮らしていても、食べたいときに好きなものが簡単に手に入る環境が整っています。そんな中、大切なのは「自分で選ぶ」ということ。
普段の暮らしに関すること、生活のペースや、食生活のバランスを考えられるかで、からだもこころも変わるといいます。

「例えばわたしは、カレーをスパイスから作ります。スパイスから作るとなると、どうしても時間はかかりますが、昔の人たちはみんなこういう方法で料理をしていました。いろいろ事情はあるかと思いますが、たまに少し時間ができた時には、いつもより少しだけていねいに、料理をしてみるのもいいですよ。
日常的に自分で作ったものや、美味しいと思うものを食べていると、自然とそういうものが食べたくなってきます。カレーが食べたいけれど、材料がない場合は、なにがなんでもカレーを食べるということを選んでもいいし、家にある素材でレシピを考えて、カレー味の野菜炒めとか別のもので代用するのか、そういうことを選べるのってとても贅沢だと思います」

食べるひと、そして作るひと自身が「何を」食べるかを選んで、楽しむ。簡単そうに見えて、難しいことです。そのうえ、自分で選択するということは、いつのまにか疎かにしてしまいがち。
けれど、ちょっと立ち止まってそこに意識を張りめぐらせることで、からだがと心が健やかになり、だんだんと暮らしが豊かになっていく。そのわくわくする未来を、「あゆみ食堂」のひと皿ひと皿から、感じることができるのではないでしょうか。

(写真提供:大塩あゆ美さん)
お話をうかがった人
大塩 あゆ美(おおしお あゆみ)
出張料理「あゆみ食堂」という屋号とともに、季節の食材を使いながら、ケータリング活動を行う。料理家・たかはしよしこさんの元で修行をした後、独立。日常の延長にある、シンプルな食材を使いながら、家庭的で工夫に富んだレシピと、素材に対してとことん愛情深く、手間暇かけて調理された料理が話題。
- 大塩あゆ美さん公式ブログ
- Instagram:@ayumishokudou
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中條美咲
昭和64年1月3日 長野県生まれ。 2014年 暮らしの中で出会ったものや人、そこから感じたことを文章で伝えていきたいと思い 「紡ぎ、継ぐ」というブログを始める。” 見えないものをみつめてみよう。” ということをテーマに、書くことを通じて多くの出会いに触れながら、感じる力を育てていきたい。 現在は「灯台もと暮らし」と「PARISmag」にてライターとして活動中。
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